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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル52巻12号

2018年12月発行

文献概要

特集 退院支援—理学療法士はその先が見えているか

退院支援を専門とする理学療法士を配置して

著者: 金谷さとみ1 加藤浩子1

所属機関: 1社会医療法人博愛会菅間記念病院リハビリテーション科

ページ範囲:P.1091 - P.1097

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はじめに

 入院により廃用症候群や認知症を発症しやすい高齢者の退院には世帯形態が影響する(図1).日本の世帯形態をみると,最新の調査結果1)では,高齢者の「単独世帯」は27.1%,夫婦だけの高齢者世帯は31.1%で,これらを合わせた高齢者だけの世帯は58.2%となっている.この数字をみただけで退院支援,在宅介護の厳しさがわかるが,わずかな期間でも「わが家」に帰りたいと願う患者の気持ちを考えればこれを進めざるを得ない.

 世帯形態のみならず,天涯孤独,経済的問題,劣悪な環境など,在宅復帰できない理由は多々あるが,本人や周囲の考え方や思い込みが障壁になるという側面もあり,退院支援は生活の実態を捉えるだけでは解決せず,因果関係の解明と複雑な対応が絡み合う.理学療法士が苦手なところはこのような複雑な部分ではないかと考える.このような力はむしろ経験から学ぶことがほとんどで,多くの要素を捉えて柔軟に対応する「人間力」も必要になる.近年は退院支援が注目されているにもかかわらず,経験の少ない若い理学療法士が増え,不十分な対応が目につくようになったため,退院支援専門の理学療法士を配置する取り組みを開始することとなった.

参考文献

1)社会保険診療報酬支払基金:平成30年度診療報酬改訂関係通知(平成30年3月5日)別添1−医科診療報酬点数表に関する事項A246入退院支援加算.http://www.ssk.or.jp/shinryohoshu/kankeitsuuchi/kankeitsuuchi_06.html#cmssec1(2018年10月4日閲覧)
2)内閣府:内閣府平成28年版高齢社会白書 高齢者の家族と世帯.http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2016/html/zenbun/s1_2_1.html(2018年9月6日閲覧)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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