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特集 退院支援—理学療法士はその先が見えているか
退院支援を専門とする理学療法士を配置して
著者: 金谷さとみ1 加藤浩子1
所属機関: 1社会医療法人博愛会菅間記念病院リハビリテーション科
ページ範囲:P.1091 - P.1097
文献購入ページに移動入院により廃用症候群や認知症を発症しやすい高齢者の退院には世帯形態が影響する(図1).日本の世帯形態をみると,最新の調査結果1)では,高齢者の「単独世帯」は27.1%,夫婦だけの高齢者世帯は31.1%で,これらを合わせた高齢者だけの世帯は58.2%となっている.この数字をみただけで退院支援,在宅介護の厳しさがわかるが,わずかな期間でも「わが家」に帰りたいと願う患者の気持ちを考えればこれを進めざるを得ない.
世帯形態のみならず,天涯孤独,経済的問題,劣悪な環境など,在宅復帰できない理由は多々あるが,本人や周囲の考え方や思い込みが障壁になるという側面もあり,退院支援は生活の実態を捉えるだけでは解決せず,因果関係の解明と複雑な対応が絡み合う.理学療法士が苦手なところはこのような複雑な部分ではないかと考える.このような力はむしろ経験から学ぶことがほとんどで,多くの要素を捉えて柔軟に対応する「人間力」も必要になる.近年は退院支援が注目されているにもかかわらず,経験の少ない若い理学療法士が増え,不十分な対応が目につくようになったため,退院支援専門の理学療法士を配置する取り組みを開始することとなった.
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