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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル52巻12号

2018年12月発行

文献概要

特集 退院支援—理学療法士はその先が見えているか

特定機能病院における理学療法士の退院支援

著者: 安井健1 横田一彦1

所属機関: 1東京大学医学部附属病院リハビリテーション部

ページ範囲:P.1099 - P.1105

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はじめに

 特定機能病院は,高度な医療の提供,開発および評価,研修を行う能力を有する医療施設として,1992年の第2次医療法改正によって制度化され,2017年6月の時点では全国で85病院(うち大学病院本院は78病院)が登録されている1).2003年から診断群別分類を活用した包括支払制度(diagnosis procedure combination:DPC)が特定機能病院を中心に導入が開始されたのを契機に在院日数の短縮が促進され,2006年の医療制度改革では,入院から在宅まで切れ目のない医療を提供するために医療機能の分化・連携を推進する方向性が示された2).こうした背景のなか,特定機能病院としての使命を果たすためには円滑で適切な退院の流れを構築する必要があり,退院支援は欠くことのできない重要な機能3)とされ,東京大学医学部附属病院(以下,当院)でも地域医療との連携の推進が病院全体のミッションの1つに掲げられている.

 退院支援への理学療法士の関与に関しては,退院後の医療処置や継続的なリハビリテーションの必要性が高く,よりよい支援を行うために多職種が協働すべきである4),平均在院日数が短くなり回復期過程での退院が増加するなか,リハビリテーション職には退院支援プロセスに積極的に関与することが求められる5)とされる一方で,在宅分野に関する知識不足をはじめとした臨床能力への懐疑的な意見,また各理学療法士の他職種との連携業務に対する意識の差6)も指摘される.本稿では特定機能病院に勤務する理学療法士の立場から,実情報告とともに,われわれに求められること,すべきことについて考察する.

参考文献

1)厚生労働省:特定機能病院について.2017.http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137801.html(2018年8月22日閲覧)
2)厚生労働省:平成19年版厚生労働白書—医療構造改革の目指すもの.2007.https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/07/(2018年8月22日閲覧)
3)長野宏一朗:退院支援における高齢者総合的機能評価の有用性.老年医学43:553-556,2005
4)長野宏一朗:退院支援の現状と課題—大学病院連携部門の実践から.老年医学47:285-289,2009
5)川越雅弘:理学療法士に期待される役割—地域包括ケア構築に向けて.理学療法学40:230-234,2013
6)安井 健,他:特定機能病院における理学療法士の退院調整への関与—首都圏の1大学病院における調査.理療科28:1-5,2013
7)回復期リハビリテーション病棟協会:会員病棟一覧.http://www.plus1co.net/rehabili/ward_list.html(2018年8月22日閲覧)
8)長野宏一朗:地域医療連携と大学病院—現状と展望.日内会誌105:2048-2054,2016
9)田口敦子,他:大学病院における退院支援スクリーニング指標の基準関連妥当性の検討.東北大保健紀24:19-27,2015
10)永田智子,他:退院支援の現状と課題.保健の科学44:95-99,2002
11)川越雅弘,他:要介護高齢者に対する退院支援プロセスへのリハビリテーション職種の関与状況—急性期病床,回復期リハビリテーション病床,療養病床間の比較.理療科26:387-392,2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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