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特集 退院支援—理学療法士はその先が見えているか
特定機能病院における理学療法士の退院支援
著者: 安井健1 横田一彦1
所属機関: 1東京大学医学部附属病院リハビリテーション部
ページ範囲:P.1099 - P.1105
文献購入ページに移動特定機能病院は,高度な医療の提供,開発および評価,研修を行う能力を有する医療施設として,1992年の第2次医療法改正によって制度化され,2017年6月の時点では全国で85病院(うち大学病院本院は78病院)が登録されている1).2003年から診断群別分類を活用した包括支払制度(diagnosis procedure combination:DPC)が特定機能病院を中心に導入が開始されたのを契機に在院日数の短縮が促進され,2006年の医療制度改革では,入院から在宅まで切れ目のない医療を提供するために医療機能の分化・連携を推進する方向性が示された2).こうした背景のなか,特定機能病院としての使命を果たすためには円滑で適切な退院の流れを構築する必要があり,退院支援は欠くことのできない重要な機能3)とされ,東京大学医学部附属病院(以下,当院)でも地域医療との連携の推進が病院全体のミッションの1つに掲げられている.
退院支援への理学療法士の関与に関しては,退院後の医療処置や継続的なリハビリテーションの必要性が高く,よりよい支援を行うために多職種が協働すべきである4),平均在院日数が短くなり回復期過程での退院が増加するなか,リハビリテーション職には退院支援プロセスに積極的に関与することが求められる5)とされる一方で,在宅分野に関する知識不足をはじめとした臨床能力への懐疑的な意見,また各理学療法士の他職種との連携業務に対する意識の差6)も指摘される.本稿では特定機能病院に勤務する理学療法士の立場から,実情報告とともに,われわれに求められること,すべきことについて考察する.
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