文献詳細
文献概要
報告
病棟専従理学療法士配置による転倒転落予防効果—ADL維持向上等体制加算算定病棟における検討
著者: 安田耕平1
所属機関: 1公立昭和病院リハビリテーション科
ページ範囲:P.1176 - P.1181
文献購入ページに移動要旨 【目的】病棟専従理学療法士配置前後の転倒転落インシデントレポートの分析を行い,転倒転落予防効果を明らかにすること.【対象と方法】2015年12月からADL維持向上等体制加算の施設基準に準じて,消化器外科,泌尿器科,乳腺内分泌外科,歯科口腔外科を主診療科とする46床の病棟に,病棟専従理学療法士1名の配置を開始した.専従配置開始前後それぞれ18か月を対象に,病棟専従理学療法士配置病棟から報告された転倒転落に関するインシデントレポートの分析を後方視的に行った.【結果】病棟専従配置後に転倒転落件数と転倒転落率の減少を認めた.特に,入院初期と活動時間帯の転倒転落件数の削減に効果を示した.【結論】病棟専従理学療法士を配置することで,急性期の患者特性に応じて毎日個別性が高い転倒転落予防指導や介入が切れ目なく実現した.また,専従前は看護師のみが対応していた傾向があったが,病棟専従とすることで多職種による情報共有も促進され,転倒転落削減に効果的であることが示唆された.
参考文献
1)大高洋平:転倒予防のエビデンス.J Clin Rehabil 24:1074-1081,2015
2)鮎澤純子:現場における取り組みの見直しと今後の課題—リスクマネジメントの視点から.総合リハ33:317-322,2005
3)高杉紳一郎,他:病棟での転倒リスク評価と予防介入.骨粗鬆症治療7:203-207,2008
4)安村誠司:高齢者の転倒・骨折の頻度.日医師会誌122:1945-1949,1999
5)加藤真由美,他:入院高齢者の転倒要因についての研究—3種類の施設の前向き調査から.金沢大保健紀24:127-134,2000
6)Healey F, et al:Using targeted risk factor reduction to prevent falls in older in-patients:a randomised controlled trial. Age Ageing 33:390-395, 2004
7)Cumming RG, et al:Cluster randomised trial of a targeted multifactorial intervention to prevent falls among older people in hospital. BMJ 336:758-760, 2008
8)Haines TP, et al:Patient education to prevent falls among older hospital inpatients:a randomized controlled trial. Arch Intern Med 171:516-524, 2010
9)Stenvall M, et al:A multidisciplinary, multifactorial intervention program reduces postoperative falls and injuries after femoral neck fracture. Osteoporos Int 18:167-175, 2007
10)平田和彦,他:病棟専属理学療法士配置による効果の検討.国大法人リハコ・メディ会誌31:20-22,2010
11)日本理学療法士協会職能課:平成26年度診療報酬改定ADL維持向上等体制加算について.http://www.japanpt.or.jp/upload/japanpt/obj/files/revision/kyuseiki_pt_haichi3.pdf(2018年9月25日閲覧)
12)厚生労働省保険局医療課:疑義解釈資料の送付について(その3).http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000043429.pdf(2018年9月25日閲覧)
13)安田耕平,他:DPC医療機関Ⅱ群病院における理学療法士病棟専従の有用性.総合リハ45:1045-1052,2017
掲載誌情報