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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル52巻2号

2018年02月発行

文献概要

症例報告

低酸素脳症により発作性ミオクローヌスを呈したLance-Adams syndrome例の理学療法経験

著者: 上野奨太1 吉尾雅春1 尾立朋子1

所属機関: 1千里リハビリテーション病院

ページ範囲:P.171 - P.176

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要旨 心肺停止後の低酸素脳症により,動作時に全身に不随意運動が出現する発作性ミオクローヌスを呈したLance-Adams syndrome(LAS)例を経験した.入院当初は動作時に全身にミオクローヌスを認め,立位保持や歩行が困難な状態であった.ミオクローヌスの改善には,服薬調整と運動失調の改善が有効であると考え,医師との服薬内容の連携や立位,歩行練習を中心とした運動療法を実施した.9週目には杖なし歩行で屋外300m近位見守りまでに改善した.しかし,10週目に居室内で転倒し,左大腿骨頸部骨折の受傷による転院期間があり,運動機能低下を認めた.再入院後も継続した運動療法により運動失調の改善とミオクローヌスの抑制につながり,杖なし歩行近位見守りで可能なレベルまで回復した.しかし,姿勢不安定性が増強する場面においてミオクローヌスは残存した.初回入院から23週目に転倒リスクも考慮して歩行器歩行による自宅退院となった.LASは稀な症例であるが,適切な薬物療法下でのリハビリテーションが効果的であることを経験した.

参考文献

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2)永井将弘,他:脳幹網様体性ミオクローヌス Lance-Adams syndrome.Clin Neurosci 30:770-771,2012
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4)池田昭夫,他:KT-801(ピラセタム)液剤のミオクローヌスに対する早期臨床第Ⅱ相試験.臨医薬13:457-484,1997
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6)尾谷寛隆:低酸素脳症患者の歩行練習.PTジャーナル40:635-641,2006
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8)古川哲雄:中毒性疾患とミオクローヌス.神研の進歩28:767-773,1984

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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