文献詳細
文献概要
特集 理学療法における動作のアセスメント
高齢者の動作アセスメント
著者: 金子純一朗1
所属機関: 1国際医療福祉大学保健医療学部理学療法学科
ページ範囲:P.199 - P.205
文献購入ページに移動はじめに
現在,高齢者に対するリハビリテーションは整形外科疾患をはじめ,さまざまな病態を対象としている.特筆すべきは,いずれの疾患に罹患した場合も在宅復帰率が改善され,最大80%以上まで復帰する医療施設もある.また,既往歴に着目すると,大腿骨頸部骨折と脳梗塞を異なる時期に罹患するなど,病態の異なる疾患を重複しながら日常生活を獲得している場合もあり,動作特性を分析するうえで動作分析やアセスメントとして判断することがさらに重要となっており,本稿では高齢者であるがゆえの動作特性をテーマに解説する.
立位保持時間を例にすると,ロンベルグ試験の条件では若年者との違いは生じないものの,床面の形状がフォーム状で実施した場合,若年者よりも最大30%程度立位保持時間が減少してしまうことが報告されており1),動作環境の適応においても考慮する必要がある(図1).そこで本稿では,高齢者特有の動作特性や姿勢制御に関する特徴をいくつか整理し,対象者の個体差を精査するのに必要なポイントや環境設定での配慮について,実例を踏まえて解説する.
現在,高齢者に対するリハビリテーションは整形外科疾患をはじめ,さまざまな病態を対象としている.特筆すべきは,いずれの疾患に罹患した場合も在宅復帰率が改善され,最大80%以上まで復帰する医療施設もある.また,既往歴に着目すると,大腿骨頸部骨折と脳梗塞を異なる時期に罹患するなど,病態の異なる疾患を重複しながら日常生活を獲得している場合もあり,動作特性を分析するうえで動作分析やアセスメントとして判断することがさらに重要となっており,本稿では高齢者であるがゆえの動作特性をテーマに解説する.
立位保持時間を例にすると,ロンベルグ試験の条件では若年者との違いは生じないものの,床面の形状がフォーム状で実施した場合,若年者よりも最大30%程度立位保持時間が減少してしまうことが報告されており1),動作環境の適応においても考慮する必要がある(図1).そこで本稿では,高齢者特有の動作特性や姿勢制御に関する特徴をいくつか整理し,対象者の個体差を精査するのに必要なポイントや環境設定での配慮について,実例を踏まえて解説する.
参考文献
1)石川和夫:老人性疾患の予防と対策—平衡障害と転倒.JOHNS 28:1347-1351,2012
2)高井逸史,他:加齢による姿勢変化と姿勢制御.日生理人類会誌6:41-46,2001
3)大江 慎,他:日本人における胸腰椎・骨盤矢状面アライメントの男女別正常値(一部頸椎を含む)と自然経過.脊椎脊髄30:271-276,2017
4)宮原洋八,他:地域高齢者の自立とライフスタイルとの関連.理療科23:85-89,2008
5)板谷 厚:感覚と姿勢制御のフィードバックシステム.バイオメカニズム会誌39:197-203,2015
6)M. J. T. FitzGerald,他(著),井出千束,他(訳):カラー臨床神経解剖学—機能的アプローチ.西村書店,pp163-164,2006
7)Wade MG, et al:Optical flow, spatial orientation, and the control of posture in the elderly. J Gerontol B Psychol Sci Soc Sci 50:P51-P58, 1995
8)Teasdale N, et al:Attentional demands for postural control:the effects of aging and sensory reintegration. Gait Posture 14:203-210, 2001
掲載誌情報