報告
代謝当量は安静時ならびに運動時の心拍数から推定可能か?
著者:
山本周平
,
石田昂彬
,
三澤加代子
,
大平雅美
,
矢嶋史恵
,
樋口智子
,
山崎佐枝子
,
吉村康夫
ページ範囲:P.372 - P.377
要旨 【目的】本研究では安静時ならびに運動時の心拍数から運動時のmetabolic equivalents(METs)が推定可能か調査することを目的とした.【方法】信州大学医学部附属病院でCardiopulmonary exercise test(CPX)を実施した外来の心疾患患者123例を対象とし,背景因子,CPXのデータとして安静時および運動負荷1分ごとの心拍数(heart rate:HR)とMETsを調査した.解析はHR index(運動時HR/安静時HR)とHR net(運動時HR−安静時HR)を算出し,回帰分析から推定式の算出と寄与率を評価した.【結果】123例から得られた1,057個のデータを解析対象とした.平均年齢は58.9±12.3歳,男性73.2%,左室駆出率57.0±15.6%であった.回帰分析の結果,METsの推定式として0.05×HR net+2.2(adjusted R2=0.626)と3.0×HR index−0.5(adjusted R2=0.544)が算出された(すべてP<0.001).また,年齢,性別,Body mass index,運動負荷方法ならびにβ遮断薬の有無でサブ解析を行った結果,HR indexは各サブ解析で回帰式が異なっていたのに対してHR netはほぼ同等の回帰式が得られた.【結論】HR netとHR indexから運動時METsを推定可能だが,背景因子やβ遮断薬の影響はHR netのほうが少なく,おおよそ0.05×HR net+2から推定可能なことが示された.