icon fsr

文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル52巻5号

2018年05月発行

文献概要

特集 視床出血と理学療法

背側核群を中心とした視床出血と理学療法

著者: 中村学1

所属機関: 1花はたリハビリテーション病院

ページ範囲:P.407 - P.413

文献購入ページに移動
視床の支配動脈

 視床の背側核群は傍正中動脈(脳底動脈の先端部もしくは共通幹から左右に分岐),視床結節動脈(後交通動脈の中央1/3から分岐),視床膝状体動脈(後大脳動脈の穿通枝)が灌流している(図1).傍正中動脈は(dorsal medial nucleus;DM核),髄板内核,束傍核に灌流し,傍正中動脈の閉塞により記憶障害や意識障害が生じる.また傍正中動脈は一側が両側の視床を支配している亜型が多数存在する1)

 一側の傍正中動脈病変で両側の視床への血流が途絶えてしまうと,記憶障害や意識障害がより重度となる.視床結節動脈は前腹側核,外側腹側核(ventrolateral nucleus;VL核),DM核腹側に灌流し,性格変化や時間や場所の失見当識,健忘がみられる.左病巣では言語性と視覚性の前向性健忘が,右病巣では視覚性前向性健忘がみられる.

参考文献

1)Schmahmann JD:Vascular syndromes of the thalamus. Stroke 34:2264-2278, 2003
2)Harvey RA,他(編),白尾智明(監訳),伊佐 正,他(訳):イラストレイテッド神経科学(リッピンコットシリーズ).p288,丸善出版,2013
3)Duus P(原著),Bahr M,他(著),花北順哉(訳):神経局在診断—その解剖,生理,臨床,改訂第5版 p260,文光堂,2010
4)Behrens TE, et al:Non-invasive mapping of connections between human thalamus and cortex using diffusion imaging. Nat Neurosci 6:750-757, 2003
5)Mastropasqua C, et al:Functional anatomy of the thalamus as a model of integrated structural and functional connectivity of the human brain in vivo. Brain Topogr 28:548-558, 2015
6)重野幸次:臨床的側面—脳血管障害と前頭前野.Clin Neurosci 23:664-669,2005
7)Cavanna AE, et al:The precuneus:a review of its functional anatomy and behavioural correlates. Brain 129(Pt 3):564-583, 2006
8)渡辺雅彦:大脳の構造と機能—大脳基底核.原 寛美,他(編):脳卒中理学療法の理論と技術.pp18-22,メジカルビュー社,2013
9)高草木 薫:大脳基底核の機能—パーキンソン病との関連において.日生理誌65:113-129,2003
10)佐藤正之:前頭葉の機能解剖と神経心理検査—脳賦活化実験の結果から.高次脳機能研32:227-236,2012
11)Harvey RA,他(編),白尾智明(監訳),伊佐 正,他(訳):イラストレイテッド神経科学(リッピンコットシリーズ).pp277-292,丸善出版,2013
12)田代 学,他:ヒトの情動メカニズムにせまる脳イメージング研究の進歩.日薬理学誌125:88-97,2005
13)中野 隆(編著):機能解剖で斬る神経系疾患.pp190-200,メディカルプレス,2011
14)Schultz W:Behavioral dopamine signals. Trends Neurosci 30:203-210, 2007
15)森岡 周:リハビリテーションのための脳・神経科学入門,改訂第2版.協同医書出版社,pp139-146,2016
16)Yeo SS, et al:Corticoreticular pathway in the human brain:Diffusion tensor tractography study. Neurosci Lett 508:9-12, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら