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特集 視床出血と理学療法
前腹側核を中心とした視床出血と理学療法
著者: 野田裕太1 松葉好子1 萩原章由1 石田由佳1
所属機関: 1横浜市立脳卒中・神経脊椎センターリハビリテーション部
ページ範囲:P.415 - P.423
文献購入ページに移動視床は大脳半球と脳幹を中継する間脳の大部分を占め1),内側面が第三脳室に,外側面は内包後脚に面し位置する神経核の集合体である.視床核は嗅覚を除くすべての感覚路や,小脳,大脳基底核を含むさまざまな求心路から入力を受け,これらを視床皮質路として大脳皮質の各所に中継するとともに,皮質視床路として大脳皮質からの投射を受けることで感覚や運動だけでなく,注意,記憶,言語や情動など大脳皮質が担う機能の多くに関与している1).視床はこのように多くの機能に関与しているため,出血による損傷を受けると多様な臨床症状を呈する.またその脳内における視床の位置から,血腫の進展やそれによる圧排や浮腫によって,内包を走る投射線維への影響も出現する.理学療法を行ううえでは,これら機能解剖を理解するとともに,臨床症状を考慮した施行が望まれる.
本稿では,視床前腹側核(ventral anterior nucleus;VA核)を中心とした視床出血の理学療法についての話を進めるにあたり,VA核ならびに周辺の解剖と機能について,神経核としてのVA核の損傷,中継核としてのVA核の損傷によって起こるネットワークの障害,VA核を中心とした出血による内包を通る投射線維の損傷という3つの面から述べる.その後,後方視的に調査したVA核を中心とする出血を呈した症例を通じて,臨床症状から考えられる理学療法のアプローチを提示したい.
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