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雑誌目次

雑誌文献

理学療法ジャーナル53巻10号

2019年10月発行

雑誌目次

特集 これからの理学療法—2025年以降の姿を見据えて

EOI(essences of the issue)

ページ範囲:P.969 - P.969

 2025年以降のこれからの理学療法を見据えて,日本における社会保障制度改革の流れを概観し,世界保健機関(World Health Organization:WHO)が2030年までにめざすリハビリテーションの概要,WHOの中心分類として新たに提供される国際保健介入分類(International Classification of Health Interventions:ICHI),世界の理学療法先進協会が目指す将来戦略についてまとめた.これらを踏まえて,座談会を通して,これからの理学療法の姿について多岐の視点から大いに語り合っていただき,理学療法・理学療法士に求められる姿を模索した.

これからの時代に適応する理学療法

著者: 半田一登

ページ範囲:P.971 - P.976

はじめに

 日本の理学療法士教育は1963年に開始され,その養成校の名前は「国立療養所東京病院附属リハビリテーション学院」でした.それに続いた養成校「九州リハビリテーション大学校」,そして「高知リハビリテーション学院」の名前からもわかるように,われわれ理学療法士はリハビリテーション医療の申し子として日本に誕生したのです.当時のことを思い起こすと,「新しい医療における新しい役割」という高揚感のある受け止め方をしていたと思います.

 しかし,いざ理学療法士として就職してみると,臨床現場においては「リハビリテーション医療」と「理学療法士」という新しい職業を患者に理解してもらうことにたいへんな努力が必要でした.その最たるものがマッサージ行為との差別化でした.総合臨床実習中に医師から「肩をもんでくれ」とよく言われたものです.このような状況を変えるため,初期の理学療法士たちは懸命の努力をし,その努力によって理学療法士の本来業務に関する社会的評価が固定したものになっていきました.ところが最近の理学療法士はいたって簡単にマッサージを行うようになっており,2025年以降の姿を考えるときに大きな不安材料になっています.

 1971年に厚生省(当時)によって示されたリハビリテーションと介護の強化が急務であるという方針のもと,リハビリテーション医療の拡大という医療政策によって,医療機関を中心に理学療法士の雇用は増え続けてきました.また,介護保険の導入と在宅医療の拡大は理学療法士の働き方を大きく変化させ,在宅理学療法は日本の医療・介護保険体制のなかで欠かせないアイテムになってきました.

 本稿で,2025年以降の理学療法士の姿を描くにあたり,私は理学療法士にとって大事なことは,総人口や高齢者数が激減し始める2040年以前と以降を分けて考えることだと思います.加えて,これまでの理学療法士業務の歩みを顧みて,反省すべき点は反省し,それを未来に活かすことも重要な点と考えています.これまでの理学療法士業務の変化を捉えながら,さまざまな情報をもとに2025年以降について記述します.

これからのリハビリテーション—世界保健機関リハビリテーション2030会議から

著者: 久野研二

ページ範囲:P.977 - P.984

はじめに

 2017年2月に世界保健機関(World Health Organization:WHO)本部でRehabilitation 2030:A Call for Actionと題する会議が開催され,筆者も参加した.そこで,国際的な社会の発展・開発枠組みとして2030年までの目標を定めた国連の持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)達成のため,リハビリテーションの今後の方向性と指針が議論された.

 本稿では,まず上記の会議を形づくったリハビリテーションを取り巻く状況を歴史的な潮流から俯瞰し,次いで上記会議と関連するWHOの政策的文書の分析を通してWHOがめざしているリハビリテーションの方向性を見据える.それを踏まえ,これからのリハビリテーションと理学療法(士)の役割と可能性を検討する.

国際保健介入分類とチーム医療

著者: 向野雅彦

ページ範囲:P.985 - P.990

はじめに

 国際保健介入分類(International Classification of Health Interventions:ICHI)は現在臨床において広く普及し統計にも使用されている国際疾病分類(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems:ICD),2001年の発表以降これまでに徐々に普及が進められてきた国際生活機能分類(International Classification of Functioning,Disability and Health:ICF)とともに,世界保健機関(World Health Organization:WHO)による国際分類の1つとして,現在開発が進められている分類である.

 本稿では,このICHIの概要,ICHIを含めた国際分類の普及とそのチーム医療におけるツールとしての国際分類の可能性について概説する.

2025〜2030年に向けての戦略—世界規模でみたこれからの理学療法

著者: 伊藤智典 ,   西山花生里 ,   渡部大地

ページ範囲:P.991 - P.997

はじめに

 現在,世界レベルおよび各国の国レベルの専門職団体により,現状の職能的課題や理学療法の専門性がめざすところなどが発信されている.本稿では,将来に向けた世界規模の理学療法に関して正確な理解を深めることを目的とし,米国,カナダ,英国,オーストラリアにある理学療法の国レベルの専門職団体(本邦では日本理学療法士協会にあたる)ならびに世界団体[World Confederation for Physical Therapy(WCPT):世界理学療法連盟]が示す理学療法についての将来の展望を紹介する.

 本稿では,各団体の成り立ちや基本情報のみならず,戦略計画(strategic plan)や政策声明(policy statement),報告書(report)などを中心に記述した.なお対訳にあたっては公的・法的な対訳を優先し,英単語の意味は世界理学療法連盟の用語集(WCPT Glossary)の定義を参考にした.

座談会:これからの理学療法の姿

著者: 金子文成 ,   榊聡子 ,   松井一人 ,   松田淳子 ,   山本理恵子 ,   内山靖

ページ範囲:P.999 - P.1008

 2025年に向けて地域医療構想と地域包括ケアシステムの完成を控えるなか,その後の2040年,2050年に向けた理学療法の在り方を考える.理学療法に期待される役割として,「健康寿命の延伸」や「地域の創生」,「社会保障費の効率化」が挙げられる一方で,目まぐるしく発展する科学技術と融合した新たな理学療法の創造も求められる.これからの理学療法が担うべき役割とその可能性について,各分野で活躍する先生方に議論していただいた.

(2019年7月20日収録.公開収録を行い,聴講者の方々にもお越しいただきました.本頁の写真は参加者全員の集合写真です.)

連載 脳画像から読み取る障害像と理学療法・10

—中大脳動脈梗塞 ①—重度の運動麻痺と感覚障害,pusher現象,半側空間無視,病態失認がみられた右中大脳動脈梗塞例

著者: 阿部浩明

ページ範囲:P.963 - P.966

Question

この脳画像からどのような障害像を推察しますか?

とびら

うつろい

著者: 中本隆幸

ページ範囲:P.967 - P.967

 私が理学療法士として勤務し,ちょうど10年経過したときに西暦2000年を迎えました.リハビリテーションは,その年の介護保険制度の導入,回復期リハビリテーション病棟施設基準の設置に伴い現在の流れに舵が切られたと考えています.それまでは,1人の理学療法士が急性期,亜急性期,慢性期と対応することができ,患者さんの予後予測も理学療法を経験するなかで自然と学習できていました.当時の理学療法は効果的なエビデンスが不十分であったとの反省はありますが,理学療法士として成長していくためには必要なことであったと認識しています.

 2020年を迎えようとしている今,日本理学療法士協会所属の理学療法士は約12万人を超える時代となっています.理学療法行為が社会保障制度上で医療費の負担として大きな存在となっていることは否定できないと考えます.そのようななかで,2012年より地域包括ケアシステムの構築が積極的に進められ,2025年,2040年に向けて大きく動き出しています.

1ページ講座 理学療法関連用語〜正しい意味がわかりますか?

自己効力感

著者: 森川真也

ページ範囲:P.1015 - P.1015

■自己効力感とは

 自己効力感(self-efficacy)は心理学用語の1つであり,1977年にBandura1)によって社会的認知理論のなかで提唱された概念である.自己効力感とは,人がある具体的な状況のなかで適切な行動を成し遂げられるという予期や確信のことであり1),何らかの行動や課題あるいは目標やゴールに対して,「自分は達成することができる」という自分自身に対しての予測や見通し,見込み感を表す.つまり,自己効力感は個人の行動や遂行能力に対する確信の程度であり,人の行動を決定するうえで必要不可欠な心理的要因の1つである.

外国人とのコミュニケーション

中国

著者: 服部健治

ページ範囲:P.1016 - P.1016

 2018年,来日した中国人は年間800万人を超え,訪日外客数のなかでも最大である.本稿では,訪日中国人と円滑なコミュニケーションを図るために理解しておくべきことを,日中経済交流の実務に長年携わってきた筆者の立場から紹介する.

入門講座 地域生活につなげるさまざまなサービス・2

障害者総合支援法に関連するさまざまなサービス

著者: 青木昌子

ページ範囲:P.1017 - P.1023

はじめに

 成人の障害者は,地域生活においてどのようなサービスを活用しているのか,そこには,どのような人々がかかわるのか.本稿では若年の左片麻痺,高次脳機能障害がある障害者が社会復帰に至る経過を1つのモデル事例として,「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(以下,障害者総合支援法)」にかかわるサービスをご紹介することとしたい.

講座 運動器の理学療法—その常識は正しいか?・2

肩関節疾患における腱板トレーニングは肩関節疾患の改善に有効か?

著者: 千葉慎一

ページ範囲:P.1025 - P.1032

はじめに

 肩関節の運動にとって腱板機能は最も重要視される機能の1つである.そのため,肩関節障害の治療には腱板のトレーニングが欠かせない.

 筒井ら1)は51名の肩不安定症患者に対してゴムバンドを利用した低負荷での腱板トレーニングを行い,良好な結果が得られたと報告している.上里ら2)は,腱板損傷患者に対して腱板のトレーニングを行った結果,筋電図学的にも腱板とアウターマッスルとのインバランスが解消され,X線画像上でも上腕骨頭と関節窩の適合性が改善したと報告している.

 腱板のトレーニング方法については現在まで多くの研究がなされ,さまざまなトレーニング方法が考案され,さらにさまざまな道具も作成されている.しかし,臨床では,今まで考案された方法を用いても期待したような効果が得られないことがよくある.なぜ,文献に載っている方法を使用しても,症状を改善させることができないのだろうか? トレーニング効果が上がらないのだろうか? という疑問をもった理学療法士は少なからずいると思う.その原因として,トレーニング方法自体に問題がある場合と,考案された方法を使う理学療法士側に問題がある場合とが考えられる.それでは,どのようにトレーニングを行えばよいのだろうか.

 そこで,本稿では既存の腱板トレーニングの方法を再考し,どのような方法で行えば,確実に効果を得ることができるかについて検討してみた.

臨床実習サブノート 「日常生活活動」をみる・6

移乗

著者: 平野明日香

ページ範囲:P.1033 - P.1038

はじめに

1.活動としての移乗

 移乗とは屋内ではベッドと車椅子,トイレと車椅子などの場所を移動し,屋外では自動車などへ乗り移る行為を指します.移乗が可能になると自由に場所の移動ができ,屋内では排泄や食事,入浴などの日常生活活動の拡大となり,屋外では買い物,仕事など手段的日常生活活動の拡大となります.よって,移乗は場所を移動するだけではなく,活動範囲の拡大につながるため,理学療法の実践場面で移乗が困難な場合は活動障害としての移乗に焦点を当てることが重要です.また,生活する患者にとって,疾患や後遺症を抱えていてもうまく生きていく術が必要であり1),そうした観点からも,移乗は歩行移動が困難な患者にとって重要な動作となります.

 患者にとって移乗動作で介助または監視になると介助者が必要となり,自由に移動ができず,生活範囲の狭小化につながります.自宅で暮らしている方においては移乗の自立が外出を可能にし,社会参加へとつながることでQOLが向上する可能性があります.

2.移乗の自立へ向けて

 自発的な活動としての実行状況には,① 動作能力,② 意思・意欲,③ 必要性,④ 環境の因子が関与し,相互に影響を及ぼしています2).移乗動作ができても,移乗しようという意欲がなければ朝起きてから1日中ベッド上で過ごすこととなるため,意思・意欲も必要です.また,施設入所中で歩行が困難な方においては,トイレ移乗が自立していればスタッフを待つことなく1人でトイレに行け,失禁が減らすことができます.このことからも移乗は必要性の高い動作と考えられます.また,トイレの場合は車椅子で移乗がしやすいように,広い空間や手すりが設置されているなど環境の因子も重要です.

 本稿では活動や参加に念頭を置いて,移乗動作における評価の視点や理学療法介入としての移乗自立へ向けた取り組みについて紹介します.

学会印象記

—13th International Society of Physical and Rehabilitation Medicine World Congress—最先端医学としての国際リハビリテーション医学会世界会議

著者: 深田和浩

ページ範囲:P.1009 - P.1009

●世界会議の概要

 第13回国際リハビリテーション医学会世界会議(13th International Society of Physical and Rehabilitation Medicine World Congress:ISPRM)が藤田医科大学の才藤栄一先生を大会長として,2019年6月9日〜13日に兵庫県神戸市の神戸コンベンションセンターで開催された.本学会は,最先端医学としてのリハビリテーション医学をテーマとした国際学会であり,本邦での開催は2度目である.教育講演やワークショップでは世界的に活躍されている著名な先生の講演もあり,リハビリテーション領域の最新の知見や成果の動向が述べられた.

—第35回日本義肢装具学会学術大会—「ネクストステージ」に理学療法士はついていけるか

著者: 小原謙一

ページ範囲:P.1010 - P.1010

●「ネクストステージ」についていけるか

 第35回日本義肢装具学会学術大会が,「挑戦・融合・革新—義肢装具のネクストステージ」というテーマのもとに杜の都仙台にて開催された.ここ数年の学術大会ではリハビリテーションロボット(以下,リハロボ)に関する講演,シンポジウム,一般演題が増えてきていたが,その効果のメカニズムの検証は不足している感が否めないものであった.本学術大会においても,リハロボに関する演題が目立っていたが,その内容はこれまでと異なり,明確にメカニズムを示し,より実践的なものへと変わってきている印象を受けた.テーマにある「ネクストステージ」へ到達しつつあることを強く感じさせる学術大会であった.われわれ理学療法士もこの進歩とともに,「ネクストステージ」へと進まなければならない.

甃のうへ・第70回

どうなる? 未来予想

著者: 道端ゆう子

ページ範囲:P.1014 - P.1014

 15歳を過ぎたあたりから未来予想をし始めたような気がする.

 17歳のときに祖父が脳梗塞になったことで理学療法士という職業を知り,迷いなく進路が決まった.運よく大学の1期生になれたが,周囲は優秀な同級生で何もかもが私と違い,すてきで憧れた.地元を離れることはわかっていたのに,一人暮らしの準備は何一つできていなかった.アルバイトもしたが,この先社会に出る準備としては行っていなかった.同級生と比較して何もできない私は,「あれがほしい」,「こうなるといいな」という夢が浮かんでも叶わないものとしてあきらめていた.

報告

スピーカーを応用した振動覚測定と下肢振動覚の身体部位特性

著者: 戸田香 ,   上野駿 ,   保黒政大

ページ範囲:P.1039 - P.1043

要旨 【目的】音叉を用いた振動覚の測定は,最初に叩打する力により刺激強度が異なり,障害度の判定に客観性を欠く.そこで,市販の小型スピーカーを用い,振動強度を定量的に制御できる振動覚測定器を作成した.本研究は作成した器機を使用し,若年健常者の下肢で振動覚の特性を確認することを目的とした.【方法】振動刺激の周波数は64Hz,128Hz,256Hzの3種類とし,刺激強度は−70dB〜0dBの範囲とした.刺激強度の増減を1周期とし,各周波数で3周期ずつランダムに測定した.測定部位は右の母趾背側,内果,膝蓋骨とした.【結果】周波数では128Hzの閾値が最も低く,刺激の増強時より減弱時のほうが低い閾値を示した.測定部位では母趾,内果,膝蓋骨の順に低い閾値を示した.【結論】刺激周波数や刺激部位により振動覚閾値が異なることが明らかとなった.振動覚検査の障害度の判定には測定部位ごとの判断基準が必要であると考える.

臨床のコツ・私の裏ワザ

立脚下肢骨盤挙上に対する運動療法のコツ

著者: 中嶋直樹

ページ範囲:P.1012 - P.1013

 歩行や日常生活動作において,片脚での機能的な立脚能力が必要不可欠であることは周知の事実である.体幹・下肢に機能低下があり,この立脚が困難な対象者は立脚側骨盤が挙上し,相対的に股関節が内転位となることが多いと感じている.この立脚骨盤の挙上は臀部や大腿外側への伸張ストレスを生じさせ疼痛の原因となり,動作遂行を阻害する.

 動作遂行にあたり,基本姿勢として体幹直立位を保ったままの立脚側への体重移動,骨盤の中間位〜下制位の保持が必要であり,これには体幹・骨盤・股関節・足部の協調的な活動が重要である.そこで本稿では,体幹・骨盤・股関節に焦点を当て,筆者が臨床で実践している骨盤下制を促す運動療法を提示したい.

書評

—福井 勉(編)—「《理学療法NAVI》エキスパート直伝 運動器の機能破綻はこう診てこう治す[Web動画付]」

著者: 荒木茂

ページ範囲:P.1011 - P.1011

 編者の福井勉教授の人脈と眼力で集めた,運動器の理学療法のエキスパートが書いた本.これだけで新人理学療法士だけでなく,私のような昭和の理学療法士にとっても必読の本であることは間違いない.

 腰痛や股関節,膝関節痛など,運動器疼痛症候群は明らかな外傷や,腫瘍,感染症などレッドフラッグを除けばその人の長年の姿勢や生活習慣,職業,スポーツなどにより特定の組織に物理的ストレスが,繰り返しまたは持続的にかかることによる累積加重型損傷が多い.何らかの機能破綻による特定の組織に対する物理的ストレスの蓄積が痛みの原因となり,ついには構造破綻を起こす.痛みのある部位を治療し患者の訴えが一時的に改善したとしても,原因となっている機能破綻(異常姿勢アライメントや異常な運動パターン)を改善しなければまた再発を起こす.再発を防ぐためには痛みの原因となる機能破綻に対する運動療法が必要であり,理学療法士の専門性が発揮されるところである.

—神奈川リハビリテーション病院 脊髄損傷リハビリテーションマニュアル編集委員会(編)—「脊髄損傷リハビリテーションマニュアル 第3版」

著者: 德弘昭博

ページ範囲:P.1024 - P.1024

 脊髄損傷(以下,脊損)は本人・家族,さらに周囲の人々にもその後の人生に多大な影響を与える重要なリハビリテーション(以下,リハ)の対象障害である.その障害は多面的で,初期のリハから生涯にわたる包括的ケアが必要となる.リハにかかわる医療者はチームで対応するが,障害は重く,対応の範囲は広く,要する知識は膨大で,医療現場での身体的・精神的負担は大きい.わが国で専門的リハ医療を展開できるリハ施設は限られている.

 神奈川リハビリテーション病院は脊損リハの長い歴史と多くの経験があり,高度な技術と知識をもつわが国有数の施設である.本書にはその技術・知識・経験がすべての領域にわたって記述されている.本書は優れた現場の技術書であり,同時に脊損リハの全貌を知ろうとする者にとっては絶好の教科書である.

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目次

ページ範囲:P.968 - P.968

文献抄録

ページ範囲:P.1044 - P.1045

次号予告

ページ範囲:P.984 - P.984

「作業療法ジャーナル」のお知らせ

ページ範囲:P.997 - P.997

編集後記

著者: 内山靖

ページ範囲:P.1048 - P.1048

 第53巻10号をお届けします.

 平成31年から令和元年となって半年を迎えようとしています.本誌がお手元に届く頃には消費税が10%になったことを実感しているのではないでしょうか.随分と前の話になりますが,初めてイギリスへ学会で出かけた際に,フィッシュ&チップスを食べたお店で,頼んだ種類とどこで食べるかで税率が変わることを実体験し,日本の税率の低さとシンプルさを再認識したことを鮮明に覚えています.

読者の声募集

ページ範囲:P. - P.

基本情報

理学療法ジャーナル

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1359

印刷版ISSN 0915-0552

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