文献詳細
講座 運動器の理学療法—その常識は正しいか?・2
肩関節疾患における腱板トレーニングは肩関節疾患の改善に有効か?
著者: 千葉慎一1
所属機関: 1医療法人社団 裕正会ウェルケアわきた整形外科
ページ範囲:P.1025 - P.1032
文献概要
肩関節の運動にとって腱板機能は最も重要視される機能の1つである.そのため,肩関節障害の治療には腱板のトレーニングが欠かせない.
筒井ら1)は51名の肩不安定症患者に対してゴムバンドを利用した低負荷での腱板トレーニングを行い,良好な結果が得られたと報告している.上里ら2)は,腱板損傷患者に対して腱板のトレーニングを行った結果,筋電図学的にも腱板とアウターマッスルとのインバランスが解消され,X線画像上でも上腕骨頭と関節窩の適合性が改善したと報告している.
腱板のトレーニング方法については現在まで多くの研究がなされ,さまざまなトレーニング方法が考案され,さらにさまざまな道具も作成されている.しかし,臨床では,今まで考案された方法を用いても期待したような効果が得られないことがよくある.なぜ,文献に載っている方法を使用しても,症状を改善させることができないのだろうか? トレーニング効果が上がらないのだろうか? という疑問をもった理学療法士は少なからずいると思う.その原因として,トレーニング方法自体に問題がある場合と,考案された方法を使う理学療法士側に問題がある場合とが考えられる.それでは,どのようにトレーニングを行えばよいのだろうか.
そこで,本稿では既存の腱板トレーニングの方法を再考し,どのような方法で行えば,確実に効果を得ることができるかについて検討してみた.
参考文献
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