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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル53巻10号

2019年10月発行

文献概要

報告

スピーカーを応用した振動覚測定と下肢振動覚の身体部位特性

著者: 戸田香1 上野駿1 保黒政大2

所属機関: 1中部大学生命健康科学部理学療法学科 2中部大学工学部宇宙航空理工学科

ページ範囲:P.1039 - P.1043

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要旨 【目的】音叉を用いた振動覚の測定は,最初に叩打する力により刺激強度が異なり,障害度の判定に客観性を欠く.そこで,市販の小型スピーカーを用い,振動強度を定量的に制御できる振動覚測定器を作成した.本研究は作成した器機を使用し,若年健常者の下肢で振動覚の特性を確認することを目的とした.【方法】振動刺激の周波数は64Hz,128Hz,256Hzの3種類とし,刺激強度は−70dB〜0dBの範囲とした.刺激強度の増減を1周期とし,各周波数で3周期ずつランダムに測定した.測定部位は右の母趾背側,内果,膝蓋骨とした.【結果】周波数では128Hzの閾値が最も低く,刺激の増強時より減弱時のほうが低い閾値を示した.測定部位では母趾,内果,膝蓋骨の順に低い閾値を示した.【結論】刺激周波数や刺激部位により振動覚閾値が異なることが明らかとなった.振動覚検査の障害度の判定には測定部位ごとの判断基準が必要であると考える.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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