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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル53巻11号

2019年11月発行

文献概要

特集 今と将来を見据えた小児整形外科理学療法

脳性麻痺児に対する整形外科的治療と理学療法

著者: 與儀清武1 金城健2 比屋根直美3

所属機関: 1沖縄県立中部病院リハビリテーション室 2沖縄県立南部医療センター・こども医療センター小児整形外科 3沖縄中部療育医療センターリハビリテーション課

ページ範囲:P.1063 - P.1069

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はじめに

 脳性麻痺(cerebral palsy:CP)は筋緊張のタイプや運動麻痺の程度が症例によって異なり多様な臨床像を呈する.異常筋緊張は痙縮,ジストニア,アテトーゼ,失調などのタイプに分類され,重症度が高くなるほど異常筋緊張のタイプが混合していることが多い.運動能力は粗大運動能力分類システム(gross motor function classification system:GMFCS)レベルで分類される.痙縮やジストニアは随意性の低下や筋短縮の要因となり,姿勢保持や協調運動,バランスなどに影響する.成長とともに二次障害として関節拘縮や関節変形が起こることも少なくない.成人まで理学療法を継続することも多く,理学療法を進めるうえで筋緊張をコントロールするアプローチは難しく重要な課題である.脳性麻痺リハビリテーションガイドライン1)でも痙縮治療が勧められているように,痙縮治療後は理学療法を行ううえでたいへん有利であると実感している.CP児に対する介入的治療は重症度に応じて適応と組み合わせを考え,ゴールを見据えて計画することが重要である.

 沖縄県では外科的治療と早期リハビリテーションを県立病院が担当し,退院後のリハビリテーションを地域の療育センターが担当している.本稿では,チームで取り組んでいる合同カンファレンス,CPに対する外科的治療と理学療法について詳述し症例を提示する.

参考文献

1)日本リハビリテーション医学会(監),日本リハビリテーション医学会診療ガイドライン委員会,他(編):脳性麻痺リハビリテーションガイドライン,第2版.pp161-170,金原出版,2014
2)與儀清武:ハワイの小児理学療法とリハビリテーション.中部病医誌1991;17:7-10
3)Rang M:Cerebral palsy. Morrissy RT(ed):Lovell and Winter's Pediatric Orthopaedics, 3rd ed. pp465-506. J. B. Lippincott Company, Philadelphia, 1990
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7)金城 健,他:選択的後根切断術後の重度脳性麻痺股関節亜脱臼・脱臼に対する股関節周囲筋群解離術の治療成績.日小児整外会誌2014;23:51-54
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9)粟國敦男,他:痙性股関節脱臼に対する大腿骨減捻内反短縮骨切り術(DVSO)およびDega骨切り術による一期的手術の経験.日脳性麻痺の外研会誌2015;25:23-26
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14)粟國敦男,他:歩行可能な脳性麻痺児の尖足を含む下肢痙縮に対する選択的後根切断術.日脳性麻痺の外研会誌2014;24:41-49

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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