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特集 今と将来を見据えた小児整形外科理学療法
小児股関節疾患の治療と理学療法
著者: 伊藤順一1 鈴木ほがら2 玉置郁哉2 増渕順恵2
所属機関: 1心身障害児総合医療療育センター整形外科 2心身障害児総合医療療育センターリハビリテーション部
ページ範囲:P.1071 - P.1077
文献購入ページに移動股関節は球関節であり,球(骨頭)を取り囲む靱帯と筋で固定されているだけなので,運動方向の自由度が大きい.そのため,股関節は,運動性が高いが安定性が低いという特徴をもち,乳幼児期には脱臼や亜脱臼が生じ,発育期には傷害を受けやすい.また股関節は,体幹と下肢を結ぶ継手の役割を担っており,前進移動である歩行の際に常に強い負荷にさらされている.
股関節は,体幹動作,いったん機能低下や疼痛が生じると粗大運動が障害され,ADLが著しく低下する重要な臓器である.小児股関節疾患は,出生時からの罹患と発育期に急性に罹患した場合で,その理学療法の対応は異なるが,いったん治療が落ち着いた後の成長過程で股関節のバランスを崩し,理学療法を含めた治療を要することは共通している.その際に,過去の治療時期にかかわる問題や,長い経過のなかで不十分であった関節運動の問題点を把握しつつ治療に当たること,また,知的,精神的にも発達途上の児に合わせた理学療法を“個々の”症例に応じてつくることが小児股関節治療では非常に重要である.
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