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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル53巻11号

2019年11月発行

文献概要

特集 今と将来を見据えた小児整形外科理学療法

血友病性関節症の治療と理学療法

著者: 織田聡子1

所属機関: 1荻窪病院リハビリテーション室

ページ範囲:P.1099 - P.1103

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はじめに

 血友病の理学療法と聞いてその内容を想像することは難しいかもしれない.筆者も荻窪病院(以下,当院)に入職していなければ国家試験で血友病の理学療法について一問出題されていたという記憶がある程度で終わっただろう.

 血友病には先天性血友病と後天性血友病があるが,本稿では先天性血友病について述べる.血友病とは,血友病A(血液凝固第Ⅷ因子活性の欠乏)と血友病B(血液凝固第Ⅸ因子活性の欠乏)の2タイプに分類され,一般に男児に発症する.X染色体連鎖劣性遺伝形式を示す出血性疾患であり,いったん出血すると止血に時間がかかる.従来,出血時に凝固因子製剤を投与し,患部を安静に保つ治療が進められてきた.しかしながら,この止血法では重症患者の多くは反復する関節内出血の結果として血友病性関節症を発症する1).さらに,過去に使用された非加熱凝固因子濃縮製剤を介してヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus:HIV)やC型肝炎などへ感染した患者もいる2).近年では出血予防あるいは血友病性関節症の発症進展抑止を目的として,非出血時に欠乏する凝固因子を長期間にわたり定期的に補充する止血管理法(定期補充療法)が行われるように変化してきた3).それにより,血友病患者の平均余命とQOLも飛躍的に向上している.

 本稿では血友病の疫学,病態,治療の歴史を概観しながら,当院で手術をされた患児の理学療法の紹介,取り組み,今後の展望について述べたい.

参考文献

1)瀧 正志:Ⅲ.治療 2.定期補充療法.白幡 聡(編):みんなに役立つ 血友病の基礎と臨床,改訂版.pp192-201,医薬ジャーナル社,2012
2)白幡 聡:血友病診療連携体制—欧米諸国とわが国の状況.日血栓止血会誌2017;28:443-450
3)長江千愛:5.治療 定期補充療法.宮川義隆,他(編):はじめてでも安心 血友病の診療マニュアル.pp76-86,医薬ジャーナル社,2017
4)World Federation of Hemophilia:The Report on the Annual Global Survey 2017.http://www1.wfh.org/publications/files/pdf-1714.pdf(2019年7月23日閲覧)
5)公益財団法人エイズ予防財団:厚生労働省委託事業 血液凝固異常症全国調査 平成29年度報告書.http://api-net.jfap.or.jp/library/alliedEnt/02/images/h29_research/h29_research.pdf(2019年7月23日閲覧)
6)篠澤圭子:Ⅱ.診断 2.検査所見.白幡 聡(編):みんなに役立つ 血友病の基礎と臨床,改訂版.pp116-127,医薬ジャーナル社,2012
7)小倉妙美,他:Ⅱ.診断 1.臨床症状.白幡 聡(編):みんなに役立つ 血友病の基礎と臨床,改訂版.pp104-115,医薬ジャーナル社,2012
8)酒井道生:7.インヒビター出現.宮川義隆,他(編):はじめてでも安心 血友病の診療マニュアル.pp177-183,医薬ジャーナル社,2017
9)竹谷英之:12.関節症への対応.宮川義隆,他(編):はじめてでも安心 血友病の診療マニュアル.pp177-183,医薬ジャーナル社,2017
10)牧野健一郎:Ⅲ.治療 3.合併症の予防と治療 2)血友病のリハビリテーション.白幡 聡(編):みんなに役立つ 血友病の基礎と臨床,改訂版.pp211-218,医薬ジャーナル社,2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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