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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル53巻12号

2019年12月発行

文献概要

特集 装具の臨床

地域における装具への理学療法士のかかわりの重要性

著者: 細矢貴宏1 阿部紀之12

所属機関: 1袖ケ浦さつき台病院リハビリテーション部 2千葉大学大学院医学薬学府

ページ範囲:P.1181 - P.1188

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はじめに

 近年,脳卒中後片麻痺による下肢装具使用者の生活期におけるフォローアップ体制の不十分さが指摘されている1〜3).適切なフォローアップのためには多職種・同職種間の連携が必要不可欠であり,装具難民4)を減らす,または生み出さないための取り組みが全国的に報告され始めている.勝谷らは4)装具難民とは「適切な装具療法が行われていない」,「装具処方時,患者に装具そのものの情報が伝わっていない」,「装具処方後定期的なフォローアップがなされていない」,「かかわるスタッフの知識不足」など下肢装具に関する治療・情報・システム・教育の問題であると述べている.これら生活期における装具難民を救うためにも,われわれ理学療法士は装具に関する正しい知識をもち,装具の適合・不適合を判断できるようになることや,装具に関する知識を他の医療・介護・福祉スタッフへ発信していくことが求められている.

 本稿では,全国的な生活期下肢装具使用者の実態が明らかになっていないなか,千葉県君津二次医療圏における装具難民救済の取り組みと,装具メンテナンスの実際について症例を交えて紹介し,生活期における装具メンテナンスと理学療法士のかかわりについて考える.

参考文献

1)大西忠輔,他:維持期における下肢装具に関する職種間連携の重要性—維持期脳卒中患者に対する下肢装具の実態調査.POアカデミージャーナル2016;24:30-35
2)大垣昌之,他:在宅装具利用者への取り組み—理学療法士の視点・装具ノートの活用.POアカデミージャーナル2017;25:14-20
3)阿部紀之,他:生活期における下肢装具への相談内容や地域連携の実態.理療科2018;33:941-945
4)勝谷将史,他:義肢装具士白書2016.pp103-108,日本義肢装具士協会,2017
5)日本脳卒中学会脳卒中ガイドライン委員会(編):脳卒中治療ガイドライン2015.協和企画,2015
6)Sommerfeld DK, et al:Spasticity after stroke:Its occurrence and association with motor impairments and activity limitations. Stroke 2004;35:134-139
7)Urban PP, et al:Occurrence and clinical predictors of spasticity after ischemic stroke. Stroke 2010;41:2016-2020
8)吉尾雅春:理学療法と下肢装具.PTジャーナル2017;51:281-289
9)鈴木英樹,他:下肢装具を用いた日常生活活動練習と理学療法.PTジャーナル2017;51:311-317
10)勝谷勝史,他:慢性期脳卒中患者に対する痙縮治療と装具療法.Jpn J Rehabil Med 2019;56:298-302
11)根本明宣:現場での課題と制度.Jpn J Rehabil Med 2019;56:267-271
12)久米亮一:回復期リハビリテーションから,生活期まで,適切な片麻痺患者の短下肢装具および環境への取り組み.日義肢装具会誌2017;33:151-158
13)田中惣治,他:麻痺側立脚期に膝関節が伸展する片麻痺者の歩行時の足関節筋活動の分析.理療科2014;29:873-876
14)東洋経済オンライン:全国医師数・病床数マップ.https://toyokeizai.net/sp/visual/tkp/medicalarea/(2019年8月20日閲覧)
15)阿部紀之:当院回復期リハビリテーション病棟における装具療法の取り組み—院内から地域まで(日本支援工学理学療法学会トピックス記事).http://www.japanpt.or.jp/upload/branch/jptsat/obj/files/トピックス記事_201801_第6号.pdf(2019年8月20日閲覧)
16)山崎友豊,他:地域における下肢装具の実態調査—ケアマネージャーへのアンケート結果より「地域理学療法」を模索する.理学療法学2017;44 Suppl. 2:P-SK-03-2
17)日本支援工学理学療法学会:理学療法士の福祉用具・義肢・装具支給に関する実態調査報告書.2017
18)日本理学療法士学会,他:義肢・装具・福祉用具の卒前卒後教育調査報告書.2018

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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