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特集 こころの問題と理学療法
認知症における行動・心理症状の特徴と理学療法の取り組み
著者: 小滝治美1
所属機関: 1医療法人社団一心会初富保健病院リハビリテーション科
ページ範囲:P.233 - P.241
文献購入ページに移動わが国の認知症高齢者の数は2012(平成24)年で462万人と推計されている1).認知機能の低下に伴い,IADLの低下・意欲低下・対人関係の低下など徐々に生活のしづらさが進行し,ADLもままならぬ状態に陥る.もの忘れ外来の増加や画像による早期発見技術の向上により早期に認知症と診断される患者が増え,長い期間,認知症に向き合って生活する時代になった.
当然,理学療法士が認知症の方と出会う機会も増えていることが予想されるが,「認知症は苦手だ」という理学療法士は少なくない.指示に従えない,拒否が強い,時間をかけてコミュニケーションをとるわりには効果が上がらないなど,身体的障害以上に,「やる気」という心の側面が問題視されることが多い.特に,認知症の行動・心理症状(behavioral and psychological symptoms of dementia:BPSD)の存在は,リハビリテーションの継続そのものを困難にし,ご家族はもちろん,医療・介護スタッフともに疲弊してしまう.本稿では,BPSDの考え方について概説し,理学療法士が身につけておくべき対処法と介入方法について,症例を交えながら検討していきたい.
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