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特集 こころの問題と理学療法
下肢切断者と「義足」,「スポーツ」,「社会参加」
著者: 梅澤慎吾1
所属機関: 1公益財団法人鉄道弘済会義肢装具サポートセンター
ページ範囲:P.251 - P.257
文献購入ページに移動“こころの問題”とは,捉え方次第でいかようにも解釈できる幅広いテーマである.本稿ではそれを“生きづらさ”と捉え,筆者の専門分野である下肢切断と義足の領域で掘り下げる.
障害者スポーツが,パラスポーツとも称される昨今,その精神的効果を背景に医療・福祉業界でトピックスになるとともに,メディアが取り上げる機会も増えている.
折しも2020年にオリンピック・パラリンピックの開催を控える東京では,官民を問わず多くの関連イベントが開催されており,例えば学校教育では,障害とスポーツを通じて,子供たちが人権を考える機会となっている.
逆境を力に変え,自己の可能性を切り拓くパラアスリートの姿は感動的であり,他者に勇気を与える.しかし,スポーツ参加の様子が,障害の縮図を表したものではないことを,この分野に精通する者ならば皆が知っている.下肢切断者全体を見渡せば,スポーツ活動は限られた環境で成立するものであり,それらを拾い集めて“万事”のように描写するわけにはいかない.
見方を変えると,達成すべき現実的な目標や残された課題が散在し,そこにも言及しなければならない.本稿では,スポーツに興じる価値を一考しつつも,現実として求められる取り組みについて,下肢切断特有の“こころの問題”を,現場で得た経験や実際の試みより述べる.
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