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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル53巻3号

2019年03月発行

文献概要

特集 こころの問題と理学療法

こころの問題を支える理学療法の会話と取り組み

著者: 矢口拓宇12

所属機関: 1東京ほくと医療生活協同組合王子訪問看護ステーション 2一般社団法人日本エンカレッジ・リハビリテーション協会

ページ範囲:P.259 - P.264

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はじめに

 「あの患者さんって,障害受容ができてないからダメなんですよね」と,若手の理学療法士は投げやりに発言した.何気なく発したひと言だったのだろうが,私は大きなショックを受けたことを覚えている.障害を受け入れることは並大抵のことではない.患者の心の葛藤に寄り添いながら進めていくのが,理学療法ではないだろうか? 上記の発言は“こころを支える”ことを放棄しているように感じてならなかったのである.理学療法士を取り巻く環境は“こころ”を支えるための考え方や会話の技能を学ぶ場が少ないのではないかと気づいた.拙著1)を刊行したのはそんな背景があってのことである.本稿では,理学療法の臨床現場におけるこころの問題を支える会話について事例を交えながら解説する.

参考文献

1)矢口拓宇:患者さんがみるみる元気になる リハビリ現場の会話術.秀和システム,2017
2)荒木登茂子:メディカルコミュニケーション.日呼吸管理会誌2004;13:405-409
3)影近謙治:当事者意識とinformed choice. Jpn J Rehabili Med 2018;55:284
4)吉野貴子,他:外来理学療法に対する脳卒中後遺症者の期待と理学療法士の意識との相違.理学療法学2003;30:296-303
5)Costa Lda C, et al:Prognosis for patients with chronic low back pain:inception cohort study. BMJ 2009;339:b3829. doi:10.1136/bmj.b3829
6)山崎雅也,他:訪問リハビリテーションが主介護者の介護負担感に与える影響—混合研究法を用いて.理療科学2014;29:289-294
7)大田仁史(監修),南雲直二(著):障害受容—意味論からの問い.p90,荘道社,1998
8)水島広子:《ぐっと身近に人がわかるシリーズ》正しく知る心的外傷・PTSD—正しい理解でつながりを取り戻す.p56,技術評論社,2011
9)南雲直二:障害受容と社会受容.音声言語医2008;49:132-136
10)大田仁史:新・芯から支える—実践リハビリテーション心理.pp29-30,荘道社,2006
11)大田仁史:小児の中途障害に対する障害受容と支援—心的課題の考察.MED REHABIL 2014;175:67-71
12)木佐高志:言語聴覚士として利用者・家族のデマンドをどう引き出すか? 訪問リハ2016:6;311-317

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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