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編集後記 フリーアクセス
著者: 横田一彦
所属機関:
ページ範囲:P.322 - P.322
文献購入ページに移動山本論文ではメンタルヘルス領域の理学療法について世界の動向や理学療法の役割の解説とともに,身体機能との関係性について示唆に富む指摘をしていただきました.上薗論文では精神科領域の理学療法の役割と介入方法を具体的に解説していただきました.精神科領域に限らず,広く一般の理学療法対象の方々にも応用していくべき手法が示されていると思います.小滝論文では認知症の行動・心理症状と理学療法について述べていただきました.高齢者には考慮しておくべきこの難渋する問題について,とても役に立つ考え方が提示されています.多田論文では発達障害児・者の「こころの問題」について,時間の経過のなかでの変化・変容に着目した考え方を示していただきました.豊富な経験に裏打ちされた深い洞察から,この領域の問題にかかわるときの大切な視点が提示されていると考えます.梅澤論文ではパラスポーツとのかかわりから「こころの問題」について述べていただきました.「生きづらさ」と言い換えていただいたうえでの指摘は,義足という領域のことに留まらず,広く病気を患った方への考え方として胸に刻んでおきたいものです.矢口論文では日々の理学療法では必ず繰り返される「会話」について,具体的事例から心理的サポートとしての重要性を述べていただきました.患者さんへのまなざし,触れ方とともに私たちが押さえておかなければならない大切なことが示されていると考えます.さまざまな領域での「こころの問題」を取り上げましたが,理学療法の対象を丸ごとの人として考えたときには,いずれの論文にも普遍的な指摘が含まれていると考えます.
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