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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル53巻4号

2019年04月発行

文献概要

特集 理学療法士がめざす安心と安全

総合病院における理学療法士の安心・安全への取り組み

著者: 梅野裕昭1

所属機関: 1大分中村病院リハビリテーション部

ページ範囲:P.339 - P.345

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はじめに

 地域包括ケアシステムの構築において,急性期・回復期のリハビリテーション医療では可能な限り早期からの介入が重要となる.しかし,リハビリテーション対象者においては高齢化に伴う複数の合併症や障害をもつハイリスク患者も多く,安心・安全にリハビリテーションを実施するうえでリスク管理に対するリハビリテーションスタッフの技術・知識向上とシステム整備が急務である.

 リスクに対する取り組みは事故の発生防止だけでなく,発生時や発生後も含む一連の取り組みであり,患者・家族,職員の安全確保,医療の質の保証,組織を損失から守ることを目的とする.日本リハビリテーション医学会診療ガイドライン委員会1)によると,リハビリテーションは本質的にハイリスクの分野とされ,対象の多くが運動器の障害を有しており,全身的な合併症のある方も少なくない.しかし,転倒や合併症のリスクを恐れてリハビリテーションを実施しなければ,廃用に陥り結果的に対象者の不利益を生じてしまう.高いリスクを負いながら,心身機能,活動,社会参加の獲得をめざさなくてはならないという点にリハビリテーションの特殊性があるとされる.

 これまでもリスク管理をテーマにインシデント・アクシデント発生時・後の流れや,システムについて多く論じられてきたと思われる.本稿では,日々の臨床場面においてどのようにリハビリテーションスタッフの動機づけ,緊急時の対応力を養うか,ということに焦点を当て,リハビリテーションにおけるリスク管理の特徴や現状を整理しつつ,総合病院における安心,安全とは何かを考えたい.

参考文献

1)日本リハビリテーション医学会診療ガイドライン委員会(編):リハビリテーション医療における安全管理・推進のためのガイドライン.医歯薬出版,2006
2)宮越浩一:スタッフ教育.亀田メディカルセンターリハビリテーション科リハビリテーション室(編):リハビリテーションリスク管理ハンドブック,第3版.p12,メジカルビュー,2017
3)兵藤好美,他:医療安全に活かすKYT.メヂカルフレンド,2012
4)厚生労働省:職場のあんぜんサイト 指差呼称.http://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo72_1.html(2019年2月25日閲覧)
5)坂﨑ひろみ,他:リハビリテーション訓練時に発生した急変・事故について.総合リハ2009;37:1067-1072

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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