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特集 理学療法士がめざす安心と安全
総合病院における理学療法士の安心・安全への取り組み
著者: 梅野裕昭1
所属機関: 1大分中村病院リハビリテーション部
ページ範囲:P.339 - P.345
文献購入ページに移動地域包括ケアシステムの構築において,急性期・回復期のリハビリテーション医療では可能な限り早期からの介入が重要となる.しかし,リハビリテーション対象者においては高齢化に伴う複数の合併症や障害をもつハイリスク患者も多く,安心・安全にリハビリテーションを実施するうえでリスク管理に対するリハビリテーションスタッフの技術・知識向上とシステム整備が急務である.
リスクに対する取り組みは事故の発生防止だけでなく,発生時や発生後も含む一連の取り組みであり,患者・家族,職員の安全確保,医療の質の保証,組織を損失から守ることを目的とする.日本リハビリテーション医学会診療ガイドライン委員会1)によると,リハビリテーションは本質的にハイリスクの分野とされ,対象の多くが運動器の障害を有しており,全身的な合併症のある方も少なくない.しかし,転倒や合併症のリスクを恐れてリハビリテーションを実施しなければ,廃用に陥り結果的に対象者の不利益を生じてしまう.高いリスクを負いながら,心身機能,活動,社会参加の獲得をめざさなくてはならないという点にリハビリテーションの特殊性があるとされる.
これまでもリスク管理をテーマにインシデント・アクシデント発生時・後の流れや,システムについて多く論じられてきたと思われる.本稿では,日々の臨床場面においてどのようにリハビリテーションスタッフの動機づけ,緊急時の対応力を養うか,ということに焦点を当て,リハビリテーションにおけるリスク管理の特徴や現状を整理しつつ,総合病院における安心,安全とは何かを考えたい.
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