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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル53巻4号

2019年04月発行

文献概要

1ページ講座 外国人とのコミュニケーション

イタリア

著者: トゥッチリヴィオ1 押場靖志1

所属機関: 1公益財団法人日伊協会

ページ範囲:P.390 - P.390

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 イタリアの医療は,家庭医(medico di famiglia)を基本に考えられています.国民はまず総合診療を行う家庭医の診察を受けるのです.家庭医は,それぞれ市町村の1区画あるいは1地域を担当するため,同じ地域に住み続けている人は,原則として,生涯にわたり同じ医師のケアを受けます.ですから家庭医は,担当する患者と個人的に知り合いとなり,その病歴のすべてを知っているわけです.特に専門医にかかる必要がないと判断されれば,適切な薬が処方され,患者は薬局で薬を受け取ります.必要に応じて往診もしてもらえます.さらに検査や専門医の診察が必要と判断されれば,家庭医は患者を,公立あるいは私立の医療施設に紹介します.ちょっとした皮膚炎,熱中症,風邪,一般的な過敏症など,症状が軽い場合,たいていのイタリア人は医者にかかることなく直接薬局に行き,薬剤師に相談します.

 日本に住んでいるイタリア人にとって,しばしば不満なのが,イタリアの家庭医のような総合診療医に,専門の医師を紹介してもらえないことです.同じ病気でも症状はさまざまです.問題のある身体の部位からだけでは,どの専門医に診てもらえばよいか判断できません.ですから,初めて日本の病院に行ったとき,受付で何科を受診するかと聞かれると,イタリア人は困ってしまいます.自分が何の病気かわからないのに,どの専門医に診てもらうかを言うことができないからです.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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