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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル53巻4号

2019年04月発行

文献概要

症例報告

膝関節最終伸展時の膝蓋骨上部の疼痛に対して膝蓋上脂肪体の柔軟性改善が有効であった一症例

著者: 岡西尚人1 上川慎太郎1 加藤哲弘2

所属機関: 1平針かとう整形外科リハビリテーション科 2平針かとう整形外科

ページ範囲:P.405 - P.409

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要旨 膝関節周辺には,大腿前脂肪体,膝蓋上脂肪体,膝蓋下脂肪体などがあり,膝関節運動時における筋腱と周囲組織との摩擦の緩衝に寄与している.膝蓋上脂肪体の動態については,屈曲時に関しての報告はあるが伸展時に関しては散見されない.今回われわれは,外側半月板損傷後の膝関節可動域練習中における最終伸展時に,膝蓋骨上部に疼痛が出現した症例を治療した.超音波画像診断装置を用いて観察すると,健側の膝関節最終伸展時では,四頭筋腱下縁と膝蓋骨底の間が広がり,生じた隙間に膝蓋上脂肪体が移動していた.一方患側は,四頭筋腱下縁と膝蓋骨底の拡がりが乏しい状態で膝蓋上脂肪体が移動しようとしていた.運動療法として,四頭筋腱の持ち上げ操作を実施し,疼痛は消失して完全伸展が可能となった.本症例の治療経過を通じて,膝蓋上脂肪体の動態異常による膝伸展時痛と伸展可動域制限の可能性について言及した.

参考文献

1)坂井建雄,他(監訳):プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系.医学書院,2007
2)Benjamin M, et al:The anatomical basis for disease localisation in seronegative spondyloarthropathy at entheses and related sites. J Anat 2001;199:503-526
3)豊田和典,他:膝関節周囲の脂肪体—膝蓋骨上脂肪体と大腿骨前脂肪体を中心に.整形リハ会誌2014;16:19-23
4)林 典雄:膝関節疾患における超音波診断装置の臨床応用.理学療法学2014;41:188-192
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8)林 典雄:運動療法のための運動器超音波機能解剖—拘縮治療との接点.pp139-148,文光堂,2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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