報告
脊椎腫瘍患者に適したADL評価尺度の検討—機能的自立度評価法(FIM)と脊髄障害自立度評価法(SCIM)を用いて
著者:
黒川由貴
,
村上英樹
,
加藤仁志
,
堀江翔
,
出口清喜
,
吉田信也
,
八幡徹太郎
,
土屋弘行
ページ範囲:P.518 - P.522
要旨 【目的】機能的自立度評価法(Functional independence measure:FIM)と脊髄障害自立度評価法(Spinal cord independence measure version Ⅲ:SCIM)を用い,麻痺を呈した脊椎腫瘍患者に適したADL評価尺度を明らかにすること.【方法】麻痺のある48例の脊椎腫瘍患者を対象とした.ADL評価尺度としてFIM,SCIM,神経学的評価として米国脊髄損傷協会の機能障害尺度(American Spinal Injury Association impairment scale:AIS),がん患者の身体機能特性評価としてカルノフスキーの一般全身状態スコア(Karnofsky performance status:KPS)を用い,これらの評価の関連を相関分析にて検証した.さらに,AISの重症度で対象者を群分けし,群間比較を行うことで各尺度のADL評価法としての妥当性を検討した.【結果】FIM,SCIMはともに,AIS(FIM:ρ=0.63,SCIM:ρ=0.63),およびKPS(FIM:ρ=0.86,SCIM:ρ=0.92)と有意な相関が認められた(p<0.01).一方,SCIMはAISの重症度によるすべての群間で有意差があった(p<0.05)が,FIMはAB群とC群の間には有意差が認められなかった.【結論】FIMとSCIMは同等に脊椎腫瘍患者のADL評価尺度として適している.