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入門講座 困難への対応—経験者に学ぶ・3
意欲の低下にどう向き合うか? 疾患由来編—なじみの人間関係づくりから取り組んだ歩行練習—大腿骨頸部骨折術後に意欲の低下がみられた認知症高齢者の一例/脳血管障害患者の意欲低下—患者側と理学療法士側の要因を把握し,練習の工夫につなげる/慢性閉塞性肺疾患患者の意欲低下—疾患の背景を把握しアプローチする
著者: 丸田和夫1 小松洋介2 渡邉文子3
所属機関: 1まるた老年リハビリ研究所 2 3公立陶生病院中央リハビリテーション部
ページ範囲:P.713 - P.720
文献購入ページに移動不測の事態に陥ったとき,たとえ血縁がなくても,日頃から付き合いのある人が頼りになることがある.室伏1)によれば,それは「遠くの身内より,近くの他人」といわれるように,認知症高齢者にもみられる現象であり,「なじみの人間関係(仲間)」をつくりだすうえにおいて役立つとされている.なじみの人間関係は,「認知症誤認による虚構的に加工された人間関係」ではあるが,親近感や同類感が認知症高齢者へのインフォームド・コンセント(説明や同意)を容易にしてくれる.
今回,特別養護老人ホーム(施設)内で転倒し,病院で大腿骨頸部骨折の手術を行ったが,意欲の低下によって術後の歩行練習が思うように進まず早期退院せざるを得なくなった認知症高齢者を施設内で担当する機会を得た.
本稿では,筆者(理学療法士)と認知症高齢者との間でなじみの人間関係づくりを行い,その心情を理解して信頼関係を得ることに努力して歩行練習を行った.その結果,受傷以前の歩行状態を取り戻すことを経験したので,歩行練習への拒否・意欲の低下に対する向き合い方と対処方法について述べたい.
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