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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル54巻1号

2020年01月発行

文献概要

特集 急性期理学療法の今—育成・働き方・連携・エビデンス

拝啓,急性期理学療法士様—① 集中治療専門医より/② 急性・重症患者看護専門看護師より/③ 回復期リハビリテーション病棟より/④ 訪問リハビリテーション部より

著者: 須賀将文1 瀬尾龍太郎2 宇都宮明美3 三浦創4 小林琢56

所属機関: 1兵庫県災害医療センター救急部 2神戸市立医療センター中央市民病院救命救急センター 3京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻臨床看護学講座クリティカルケア看護学分野 4医療法人社団輝生会船橋市立リハビリテーション病院 5ゆみのハートクリニック訪問リハビリテーション部 6桜美林大学大学院老年学研究科老年学専攻博士前期課程

ページ範囲:P.38 - P.49

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協同して早期離床を進めていくために

 集中治療室(intensive care unit:ICU)における早期リハビリテーション介入が重症患者の身体機能および精神機能によい効果をもたらすと言われています1).ICU-acquired weakness(ICU-AW)や集中治療後症候群(post intensive care syndrome:PICS)の“管理”において,早期離床の重要性が強調されています2).ICUにおいては,多職種でのチームアプローチを基盤とした積極的な早期離床が求められているのです.

 その反面,重要と言われながら,実際にICUでの早期離床を導入していくのはそう簡単ではありません.リハビリテーションに対する多職種の連携や協働には多くの課題があるのが実情です.表1に早期離床を進めるうえで生じる障壁や,それを解決させる要素を示します3).このような障壁を各ICUのスタッフが一丸となって克服していかなければ,ICUにおいて早期離床を進めていくことはできません.このなかには,やっかいなことにわれわれ集中治療専門医が一見気づきにくい障壁もあるようです.ですので,医師側が気づいていない障壁があれば遠慮なく共有してください.多職種でのチームとして一緒に解決策を相談していきましょう.

参考文献

1)Schweickert WD, et al:Early physical and occupational therapy in mechanically ventilated, critically ill patients:a randomised controlled trial. Lancet 2009;373:1874-1882
2)Devlin JW, et al:Clinical practice guidelines for the prevention and management of pain, agitation/sedation, delirium, immobility, and sleep disruption in adult patients in the ICU. Crit Care Med 2018;46:1532-1548
3)Hodgson CL, et al:Early mobilization of patients in intensive care:organization, communication and safety factors that influence translation into clinical practice. Crit Care 2018;22:77. doi:10.1186/s13054-018-1998-9.
4)日本集中治療医学会早期リハビリテーション検討委員会:集中治療における早期リハビリテーション—根拠に基づくエキスパートコンセンサス.日集中医誌2017;24:255-303
1)齋藤大輔:集中治療室での早期リハビリテーションの実際.杏林医会誌2016;47:37-41
2)加藤麻子,他:当院ICUでの心臓血管外科術後における早期リハビリテーションの取り組みについて.函館医誌2018;42:57-61
3)日本集中治療医学会(編):集中治療における早期リハビリテーションー根拠に基づくエキスパートコンセンサス.日集中医誌2017;24:255-303
1)田代尚範,他:急性期リハビリテーションのあり方検討プロジェクトによるリハビリテーション診療実績の変化.昭和学士会誌2013;77:733-737
1)厚生労働省:訪問リハビリテーション 第140回社会保障審議会介護給付費分科会資料.https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000167233.pdf(2019年10月15日閲覧)
2)田内悠太,他:兵庫県丹波医療圏域における介護支援専門員を対象とした心不全に対するアンケート調査—在宅心臓リハビリテーション推進の課題抽出.総合リハ2018;46:1099-1105
3)平野康之,他:訪問リハビリテーション従事者に対するアセスメント能力向上を目的とした介入の短期効果について.日保健科会誌2017;20:118-125
4)厚生労働省:厚生白書(昭和56年版).https://www.mhlw.go.jp/toukei_hakusho/hakusho/kousei/1981/dl/02.pdf(2019年10月15日閲覧)
5)諸冨伸夫:在宅につながる心臓リハビリテーション.日冠疾患誌2012;18:215-219
6)安達祐一,他:急性期病院が在宅診療に期待すること.心臓リハ2016;22:257-258
7)厚生労働省:在宅医療(その1).中央社会保険医療協議会 総会(第343回)議事次第,https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000155814.pdf(2019年10月15日閲覧)
8)厚生労働省:平成18年身体障害児・者実態調査結果.https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/shintai/06/dl/01.pdf(2019年10月15日閲覧)
9)厚生労働省:平成29年人口動態統計(確定数)の概況.第6表 性別にみた死因順位(第10位まで)別 死亡数・死亡率(人口10万対)・構成割合.https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei17/dl/10_h6.pdf(2019年10月15日閲覧)
10)厚生労働省:平成28年国民生活基礎調査の概況Ⅳ介護の状況.https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/dl/05.pdf(2019年10月15日閲覧)
11)厚生労働省:平成29年度介護給付費実態調査の概況 表6 サービス種類別にみた受給者1人当たり費用額及び費用額累計.https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/kyufu/17/index.html(2019年10月15日閲覧)
12)齊藤正和:在宅心臓リハビリテーションの実際と展望.PTジャーナル2012;46:811-816
13)高橋哲也,他:内部障害患者の理学療法におけるレジスタンストレーニングのあり方.理学療法2015;32:484-493

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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