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連載 質的研究の魅力と可能性・第2回
看護分野における質的研究の動向と可能性
著者: 黒田裕子1
所属機関: 1看護診断研究会
ページ範囲:P.1326 - P.1330
文献購入ページに移動1.はじめに
看護師は患者の健康状態が少しでも良好になることをめざして,患者に身近な日常生活に即してケアを提供する健康援助専門職である.看護師は患者の医学的,身体的な側面のみならず,心理,社会,文化,霊的な側面を含め,全体論的なケアを提供することがその専門性である.そのために研究によって追究する患者現象は,量的研究によって検証することが難しい人間行動が重要となる.もっとも,量的研究であっても尺度開発手法を使用し駆使すれば追究できない現象はなくもない.しかしながら,巧みな深層面接法や参加観察法を用いて得られる貴重なデータは質的研究でなければ実現し得ないだろう.
現在,看護分野において質的研究は重要な研究手法である.本邦では1990年代初頭にその起源を見ることができる.以来30年を経過した2020年現在,質的研究は看護分野において量的研究と肩を並べ発展してきている.
本稿は,看護分野における質的研究の動向と可能性を検討する.最後に理学療法分野の質的研究の方向性について言及する.
看護師は患者の健康状態が少しでも良好になることをめざして,患者に身近な日常生活に即してケアを提供する健康援助専門職である.看護師は患者の医学的,身体的な側面のみならず,心理,社会,文化,霊的な側面を含め,全体論的なケアを提供することがその専門性である.そのために研究によって追究する患者現象は,量的研究によって検証することが難しい人間行動が重要となる.もっとも,量的研究であっても尺度開発手法を使用し駆使すれば追究できない現象はなくもない.しかしながら,巧みな深層面接法や参加観察法を用いて得られる貴重なデータは質的研究でなければ実現し得ないだろう.
現在,看護分野において質的研究は重要な研究手法である.本邦では1990年代初頭にその起源を見ることができる.以来30年を経過した2020年現在,質的研究は看護分野において量的研究と肩を並べ発展してきている.
本稿は,看護分野における質的研究の動向と可能性を検討する.最後に理学療法分野の質的研究の方向性について言及する.
参考文献
1)Boyd CO:Philosophical foundations of qualitative research. In Munhall PL(ed):Nursing research:a qualitative perspective. pp65-73, Boston, Jones and Barlett, 2001
2)Boyd CO:Philosophical foundations of qualitative research. In Munhall PL(ed):Nursing research:a qualitative perspective. pp65-73, Boston, Jones and Barlett, 2001
3)Boyd CO:Philosophical foundations of qualitative research. In Munhall PL(ed):Nursing research:a qualitative perspective. pp65-73, Boston, Jones and Barlett, 2001
4)Glaser BG, et al:The discovery of grounded theory:strategies for qualitative research. Chicago, Aldine Publishing, 1967
5)Glaser BG, et al(著),木下康仁(訳):死のアウェアネス理論と看護—死の認識と終末期ケア.医学書院,1988
6)Boyd CO:Philosophical foundations of qualitative research. In Munhall PL(ed):Nursing research:a qualitative perspective. pp65-73, Boston, Jones and Barlett, 2001
7)Paterson JG, et al(著),長谷川 浩,川野雅資(訳):ヒューマニスティックナーシング.医学書院,1983
8)Boyd CO:Philosophical foundations of qualitative research. In Munhall PL(ed):Nursing research:a qualitative perspective. pp65-73, Boston, Jones and Barlett, 2001
9)Munhall PL:Nursing research:a qualitative perspective, 5th ed. Sudbury, Jones & Barlett, 2012
10)Leininger MM(ed):Qualitative research methods in nursing, Grune & Stratton, NewYork 1985
11)Leininger, MM(原著),近藤潤子,他(監訳)太田喜久子(訳):看護における質的研究.医学書院,1997
12)Grove SK, et al(著)黒田裕子,他(監訳):バーンズ&グローブ看護研究入門,原著第7版:評価・統合・エビデンスの生成.エルゼビアジャパン,2015
13)Polit DF, et al:Nursing research:generating and assessing evidence for nursing practice, 10 th ed. Philadelphia, Wolters Kluwer, 2017
14)Morse JM, et al:Nursing research;the application of qualitative approaches, 2nd ed. Stanley Thornes(Pub.). Ltd. California, 1996
15)木下康仁:グランデッド・セオリー・アプローチ-質的実証研究の再生.弘文堂,1999
16)木下康仁:グランデッド・セオリー・アプローチの実践-質的研究への誘い.弘文堂,2003
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