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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル54巻11号

2020年11月発行

文献概要

報告

肩甲骨引き寄せ距離と投球肘障害の関連

著者: 菅谷力也12 渡部健太郎2 倉品渉2 矢野雄一郎3 飯島裕生4 西頭知宏4 中島寛大4 笹沼秀幸3 中間季雄3

所属機関: 1株式会社エイジェックスポーツマネジメント トレーナー事業部 2とちぎメディカルセンターしもつがリハビリテーション科 3とちぎメディカルセンターしもつがスポーツ健康科 4自治医科大学附属病院整形外科

ページ範囲:P.1342 - P.1345

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要旨 【目的】肩甲骨引き寄せ距離(scapular retraction distance:SRD)と,高校生野球選手の投球肘障害との関連について調査した.【方法】対象は野球肘検診に参加した高校生野球選手222名である.投球肘障害群と健常群の2群間に分け,アンケート調査とSRDおよび肩甲上腕関節2nd外旋(2nd external rotation:ER2)を比較検討した.SRDに関しては,receiver operating characteristics(ROC)曲線を用いて投球肘障害に対するカットオフ値を算出し,得られたカットオフ値をもとに2群間での投球肘障害の割合を比較した.【結果】投球肘障害群での平日練習時間,SRDは有意に高値であり,ER2では有意に低値であった(p<0.025,p<0.01,p<0.026).ROC曲線を用いた投球肘障害に対するSRDのカットオフ値は24.75cm,感度0.43,特異度0.76,AUC 0.63であった.カットオフ値以上の選手における投球肘障害の割合が有意に高かった(p<0.01).【結論】SRDは投球肘障害の予測因子である可能性が示唆された.

参考文献

1)Sakata J, et al:Physical risk factors for a medial elbow injury in junior baseball players. Am J sports Med 2017;45:135-143
2)Shanley E, et al:Shoulder range of motion measures as risk factors for shoulder and elbow injuries in high school softball and baseball players. Am J Sports Med 2011;39:1997-2006
3)Garrison JC, et al:Shoulder range of motion deficits in baseball players with an ulnar collateral ligament tear. Am J Sports Med 2012;40:2597-2603
4)笹沼秀幸,他:栃木県における新人高校生投手の肩・肘障害の特徴.日臨スポーツ医会誌2017;23:538-542
5)重松 翔,他:高校野球競技者のMERに関連する身体機能の特徴.九州・山口スポーツ医・科学研究会誌2017;29:118-123
6)Miyashita K, et al:Glenohumeral, scapular, andthoracic angles at maximum external rotation in throwing. Am J sports Med 2010;38:363-368

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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