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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル54巻12号

2020年12月発行

文献概要

連載 質的研究の魅力と可能性・第3回【最終回】

作業療法分野における質的研究の動向と可能性

著者: 佐川佳南枝1

所属機関: 1京都橘大学健康科学部

ページ範囲:P.1457 - P.1460

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作業療法における質的研究の動向

 作業療法分野は理学療法と比べると質的研究はなされていると言えるのかもしれない.しかし作業療法の分野でも,研究と言えば量的研究が本流であるという目に見えぬ雰囲気は常々感じている.エビデンスレベルで比較されるならば質的研究者の肩身は狭い.学会での発表時間,論文の長さにしても量的研究を前提に規定されていることは否めないし,図や表でコンパクトに結果をまとめられる量的研究に対して,具体的にインタビュー内容などを引用する質的研究は紙面的制約に苦しむ.

 筆者が初めて質的研究を投稿したのは,今から20年前のことである.その当時は,査読も数量的方法論における評価概念で対応されることが多く,そうした誤解を一つひとつ丁寧に解いていく努力が必要であった.しかし,20年後の今では状況は大きく変わり,質的研究による投稿や学位論文も増加している.いったい,この間に何があったのだろうか.

参考文献

1)斎藤清二,他:ナラティブ・ベイスト・メディスンの実践.pp 30-33,金剛出版,2003
2)Kleinman A(著),江口重幸,他(訳):病いの語り—慢性の病いをめぐる臨床人類学.pp4-7,誠信書房,1996
3)田島明子:日本における作業療法の現代史—対象者の「存在を肯定する」作業療法学の構築に向けて.生活書院,2013
4)Glaser B他(著),後藤 隆,他(訳):データ対話型理論の発見調査からいかに理論をうみだすか.新曜社,1996
5)木下康仁:グラウンデッド・セオリー・アプローチ—質的実証研究の再生.弘文堂,1999
6)木下康仁:グラウンデッド・セオリー・アプローチの実践—質的研究への誘い.弘文堂,2003
7)木下康仁:ライブ講義M-GTA 実践的質的研究法 修正グラウンデッド・セオリー・アプローチのすべて.弘文堂,2007
8)Mattingly C:Healing dramas and clinical plots:the narrative structure of experience. Cambridge University press, Cambridge, 1998
9)江口重幸:語りの臨床—病いの語りとエスノグラフィックな視点.北山 修,他(編):語り・物語・精神療法.日本評論社,pp161-179,2004
10)西村ユミ:語りかける身体—看護ケアの現象学.ゆみる出版,2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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