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連載 質的研究の魅力と可能性・第3回【最終回】
作業療法分野における質的研究の動向と可能性
著者: 佐川佳南枝1
所属機関: 1京都橘大学健康科学部
ページ範囲:P.1457 - P.1460
文献購入ページに移動作業療法分野は理学療法と比べると質的研究はなされていると言えるのかもしれない.しかし作業療法の分野でも,研究と言えば量的研究が本流であるという目に見えぬ雰囲気は常々感じている.エビデンスレベルで比較されるならば質的研究者の肩身は狭い.学会での発表時間,論文の長さにしても量的研究を前提に規定されていることは否めないし,図や表でコンパクトに結果をまとめられる量的研究に対して,具体的にインタビュー内容などを引用する質的研究は紙面的制約に苦しむ.
筆者が初めて質的研究を投稿したのは,今から20年前のことである.その当時は,査読も数量的方法論における評価概念で対応されることが多く,そうした誤解を一つひとつ丁寧に解いていく努力が必要であった.しかし,20年後の今では状況は大きく変わり,質的研究による投稿や学位論文も増加している.いったい,この間に何があったのだろうか.
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