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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル54巻3号

2020年03月発行

文献概要

症例報告

心臓再同期療法後の心不全患者に対する訪問リハビリテーションにより日常生活動作が改善した要介護症例

著者: 石月亜由美1 尾熊洋子1 森雄司2 加藤倫卓3

所属機関: 1独立行政法人地域医療機能推進機構三島総合病院リハビリテーションセンター 2独立行政法人国立病院機構静岡医療センターリハビリテーション科 3常葉大学健康科学部静岡理学療法学科

ページ範囲:P.347 - P.352

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要旨 うっ血性心不全を発症後,急性期病院にて両心室ペーシング機能付き植込み型除細動器(cardiac resynchronization therapy-defibrillator:CRT-D)を施行した要介護症例に対して,理学療法士による訪問リハビリテーションを実施した.症例は79歳の女性.うっ血性心不全,心房細動と診断され入院.介助量が多いが,自宅退院を強く希望した.退院4日目より訪問リハビリテーションとして,リスク管理や「できること」の明確化,リハビリテーションマネジメントを行い,不安軽減,活動量向上をめざして6か月間施行した.

 開始時に比べ,植込み機器や心不全増悪に関する不安が軽減し,筋力や認知機能,ADLが向上,生活空間がベッド上から屋外へと拡大した.また訪問リハビリテーション実施期間中,心不全増悪や再入院は認めなかった.

 心疾患術後の要介護状態の患者であっても,退院直後からの訪問リハビリテーション介入は活動性,ADL向上に影響を及ぼすと考えられ,退院調整時には訪問リハビリテーションの導入検討が有効と考えられた.

参考文献

1)日本循環器学会.循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011年度合同研究班報告):心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2012年改訂版).http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2012_nohara_h.pdf(2018年4月10日閲覧)
2)Patwala AY, et al:Maximizing patient benefit from cardiac resynchronization therapy with the addition of structured exercise training:a randomized controlled study. J Am Coll Cardiol 2009;53:2332-2339
3)牧田 茂:社会復帰,リハビリテーションの現状と効用—③ 高齢者の複合疾患合併に対するリハビリテーション.心臓2012;44:522-524
4)Hamaguchi S, et al:Body mass index is an independent predictor of long-term outcomes in patients hospitalized with heart failure in Japan. Circ J 2010;74:2605-2611
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6)原田和宏,他:介護予防事業に参加した地域高齢者における生活空間(life-space)と点数化評価の妥当性の検討.日公衛誌2010;57:526-537
7)Bickenbach JE,他(著),公益社団法人日本リハビリテーション医学会(監訳):ICFコアセット-臨床実践のためのマニュアル.pp7-8,医歯薬出版,2015
8)日本心臓リハビリテーション学会.心臓リハビリテーション標準プログラム策定部会:心不全の心臓リハビリテーション標準プログラム(2017年版).http://www.jacr.jp/web/wp-content/uploads/2015/04/shinfuzen2017_2.pdf(2018年12月1日閲覧)
9)日本循環器学会.合同研究班参加学会・研究班:急性・慢性心不全診断ガイドライン(2017年改訂版).http://www.asas.or.jp/jhfs/pdf/topics20180323.pdf(2018年4月10日閲覧)
10)上月正博:心臓リハビリテーションとその有効性.総合リハ2017;45:779-785

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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