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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル54巻4号

2020年04月発行

文献概要

資料

理学療法教育における学習理論

著者: 下井俊典1

所属機関: 1国際医療福祉大学福岡保健医療学部

ページ範囲:P.478 - P.481

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要旨 教育実践を考える際,教授方法などの方法論だけではなく,その背景にある学習理論の理解は必須である.学習理論の哲学的前提は行動主義(behaviorism,behaviourism)と構成主義(constructivism)に大別される.これら2つの立場の違いは,教授者-学習者間の活動と学習者の誤りの取り扱いで明確となる.ただし教育実践においては,これら2つの立場を二項対立的に扱うのではなく,互いに補完し合う学習サイクルとして,それらの相乗効果を期待することが肝要である.また,近年の医学教育で導入が進んでいる診療参加型臨床実習は,構成主義の1つである状況主義をその背景理論としている.このため,教師だけでなく,臨床実習指導者にも学習理論の理解が求められる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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