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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル54巻5号

2020年05月発行

文献概要

報告

肩関節拘縮例における関節包と関節可動域の関連性の検討

著者: 鶴木恵1 高橋友明1 雫田研輔1 齋門良紀2 石垣範雄1 松葉友幸1 畑幸彦1

所属機関: 1北アルプス医療センターあづみ病院肩関節治療センター 2医療創生大学健康医療科学部理学療法学科

ページ範囲:P.600 - P.603

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要旨 関節包の縮小部位と関節可動域制限の関係を明らかにする目的で,肩関節拘縮例における関節包の大きさと関節可動域との関連性について調査した.肩関節痛を主訴に来院し,肩関節拘縮と診断された症例96例96肩を対象とした.関節造影検査にて関節包の大きさ(前方・後方・下方)を測定し,肩関節可動域[屈曲,伸展,外転,下垂位外旋,C7-thumb distance(CTD)]との間の相関関係を調べた.

 前方・後方関節包の大きさは,屈曲・伸展・外転および下垂位外旋方向の可動域との間に弱〜中等度の正の相関を,CTDとの間に弱〜中等度の負の相関を認めた.下方関節包は,屈曲・伸展・外転および下垂位外旋方向の可動域との間に中等度〜強い正の相関を,CTDとの間に中等度の負の相関を認めた.

 下垂位外旋方向の関節可動域制限は,一般に前方関節包の縮小が関係するとされているが,今回の結果では下方関節包との間により強い相関を認めており,下方関節包の縮小が可動域に大きく影響する可能性が示唆された.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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