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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル54巻7号

2020年07月発行

文献概要

連載 内科疾患患者における理学療法介入に必要なアセスメント・Part 1【新連載】

在宅における理学療法介入に必要なフィジカルアセスメント

著者: 平野康之1

所属機関: 1東都大学幕張ヒューマンケア学部理学療法学科

ページ範囲:P.829 - P.833

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在宅理学療法対象者の疾病(障害)像の変遷

 「令和元年版高齢社会白書」によると,要介護者の介護が必要になった主な原因は「認知症」が最も多く,次いで「脳血管疾患(脳卒中)」,「高齢による衰弱」と続いている1).近年は,この主な原因に加え,内科系疾患の併存罹患,フレイルやサルコペニアの合併などを有する要介護者が増加しており,複雑な臨床像を呈することも少なくない.

 実際,要介護者の内科系疾患罹患率調査では呼吸器や循環器,悪性新生物などの疾患を重複罹患している者が多い2).さらに,後期高齢者の64%が2種類以上の慢性疾患の治療を受けており,併存頻度が高い疾患は高血圧や脂質異常症などの内科系疾患である3).また,英国における高齢者の多発病有病率シミュレーションでは,2015年から2035年の間に4つ以上の疾患併存罹患者の割合が9.8%から17.0%に増加する4)と報告されており,本邦においても同様のことが予測される.特に内科系疾患を有する症例は,疾患の特性などから症状の増悪や急変,再発などを来すことが多く5,6),理学療法士は安全なサービス提供にあたって全身状態や病状の把握に努めるとともに,急変予測や急変対応などに関する知識・技術の向上が必要となる.

参考文献

1)内閣府:令和元年版高齢社会白書 第2節 高齢期の暮らしの動向(2).https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2019/html/zenbun/s1_2_2.html(2020年1月12日閲覧)
2)菱井修平,他:在宅要支援・要介護高齢者に対する運動器機能訓練前の健康スクリーニングの必要性と課題 デイケアH利用者の実態報告.老年社会科学2014;36:13-21
3)厚生労働省:第95回社会保障審議会医療保険部会[資料2高齢者医療の現状等について:後期高齢者の疾患保有状況(慢性疾患)].https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000125587.html.(2020年1月12日引用)
4)Kingston A, et al:Projections of multi-morbidity in the older population in England to 2035:estimates from the Population Ageing and Care Simulation(PACSim)model. Age Ageing 2018;47:374-380
5)小串哲生,他:当クリニックにおける在宅療養患者の緊急入院について.日在医会誌2013;15:19-22
6)前山愛実,他:訪問リハビリを施行した慢性閉塞性肺疾患患者の急変について.東北理学療法学2013;25:49-54
7)Collins SA, et al.:Relationship between nursing documentation and patients' mortality. Am J Crit Care 2013;22:306-313
8)Yamauchi T:Correlation between work experiences and physical assessment in Japan. Nurs Health Sci 2001;3:213-224
9)平野康之,他:訪問リハビリテーション実践における要介護利用者の病状把握に重要なアセスメントの検討.理療科2015;30:569-576
10)平野康之,他:訪問リハビリテーション実践における要介護利用者の病状変化の気づきに影響する要因についての検討.日保健会誌2015;18:127-138
11)公益社団法人日本リハビリテーション医学会リハビリテーション医療における安全管理・推進のためのガイドライン策定委員会(編):リハビリテーション医療における安全管理・推進のためのガイドライン,第2版.診断と治療社,2018
12)高橋哲也:循環障害に対する理学療法の理論と実際.理学療法福岡2011;24:33-38
13)環境省保健部環境安全課,熱中症環境保健マニュアル編集委員会:熱中症環境保健マニュアル2018.https://www.pref.ishikawa.lg.jp/kenkou/necchuushou/documents/kan-ne-ma.pdf(2020年1月12日閲覧)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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