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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル54巻7号

2020年07月発行

文献概要

連載 新しい臨床実習・第7回

実習前・後の学生評価—OSCE

著者: 篠崎真枝1 橘香織1 上岡裕美子1 大橋ゆかり1

所属機関: 1茨城県立医療大学保健医療学部理学療法学科

ページ範囲:P.834 - P.838

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はじめに—臨床実習前・後の評価の位置づけ

 「理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則の一部を改正する省令」が2018年10月5日に定められ,2020年度入学生より適用された.この改正において,臨床実習に「臨床実習前の評価及び臨床実習後の評価を含む」ことが明記された1).また,「理学療法士作業療法士学校養成施設指導ガイドラインに関するQ & A」2)では,「臨床実習前後の評価は,(中略)その評価方法及び単位数(評価時間)等については,養成校の定めるところによる」としたうえで,「臨床実習前後の評価は,特に総合臨床実習に関する教育結果を判定することを目的として新たに加えられたことから,実習生の技能等に関して,実習前に実技試験等による評価を行い,直接患者に接するに当たり,総合的知識及び基本的技能・態度を備えていることを確認し,その評価を踏まえた教育を臨床実習施設で行い,その判定を臨床実習後の評価等で行うことが望ましい」とされている.

 臨床実習前後の評価の方法についての明確な規定は示されていないが,学生の基本的技能・態度を評価するには,やはり客観的臨床能力試験(objective structured clinical examination:OSCE)を導入することが必要であろう.OSCEとは,Hardenら3)によって提唱された臨床能力評価方法で,客観的に臨床能力を評価するために提案された.臨床実習前・後における評価方法を選択するうえで,認知領域・情意領域・精神運動領域のタキソノミー(教育目標分類)に対応した教育方法・評価方法(表1)を用いることが提案されている4).精神運動領域のスキル(技能)評価には,直接観察法やOSCEのような技能試験を実施することが推奨されている.またOSCEでは,精神運動領域だけでなく,症例シナリオに基づいて実際に実技を行うなかで医療者として求められる態度(情意領域)についても,評価が可能である.

参考文献

1)日本理学療法士協会:文部科学省 厚生労働省 令第四号(指定規則改正).https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10803000-Iseikyoku-Ijika/0000197853.pdf(2020年2月2日閲覧)
2)日本理学療法士協会:理学療法士作業療法士養成施設指導ガイドラインに関するQ & A.http://www.japanpt.or.jp/upload/japanpt/obj/files/aboutpt/07_GuidelineQ%26A_190530.pdf(2020年2月2日閲覧)
3)Harden RM, et al:Assessment of clinical competence using objective structured examination. Br Med J 1975;1:447-451
4)大西弘高:新医学教育学入門—教育者中心から学習者中心へ.pp74-76,医学書院,2005
5)公益社団法人医療系大学間共用試験実施評価機構:当機構について.http://www.cato.umin.jp/history.html(2020年2月2日閲覧)
6)厚生労働省:医道審議会医師分科会.参考資料4-2医療系大学間共用試験実施評価機構提供資料(参考資料).https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000519144.pdf(2020年2月10日閲覧)
7)山路雄彦,他:理学療法教育における客観的臨床能力試験(OSCE)の開発と試行.理学療法学2004;31:348-358
8)厚生労働省:第3回理学療法士・作業療法士学校養成施設カリキュラム等改善検討委員会(資料).資料4-1学生,卒業生に対するアンケート結果.https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000182809.pdf(2020年2月2日閲覧)
9)日本医学教育学会:医学教育マニュアル1,第1版第10刷.pp70-73,篠原出版新社,1990
10)橘 香織,他:本学におけるOSCEの取り組みと課題.理学療法いばらき2011;14:37-42
11)厚生労働省:理学療法士・作業療法士学校養成施設カリキュラム等改善検討報告書.https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000193703.pdf(2020年2月2日閲覧)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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