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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル54巻8号

2020年08月発行

文献概要

症例報告

ペラグラ脳症例に対する回復期理学療法の経験

著者: 山崎雄一郎1 高石真二郎1 髙村浩司2 新井智之3 丸木秀行45

所属機関: 1丸木記念福祉メディカルセンターリハビリテーション科 2健康科学大学健康科学部理学療法学科 3埼玉医科大学保健医療学部理学療法学科 4丸木記念福祉メディカルセンター 5埼玉医科大学病院整形外科

ページ範囲:P.976 - P.981

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要旨 長期にわたるアルコールの多飲により,ペラグラ脳症を発症した症例を経験した.症例は,高次脳機能障害とペラグラ脳症由来の神経症状として,固縮,運動失調,運動麻痺,感覚障害等を認め,歩行とADLに介助を要した.歩行獲得とADLの自立には,失行による誤動作を修正したなかで立位,歩行練習を中心に運動療法を進めることが有効と考えた.失行の改善後,経過のなかで神経症状は改善し,16週目に病棟内の移動は独歩自立,屋外歩行は見守りにて可能となった.また,ADLは高次脳機能障害が残存しているが24週目には自立し当院を退院した.ペラグラ脳症は稀な疾患だが,医師の治療後も残存する機能障害に対しては,運動療法が有効であることを経験した.

参考文献

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5)吉尾雅春,他(編):《標準理学療法学 専門分野》 神経理学療法学.pp143-152,医学書院,2013
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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