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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル54巻9号

2020年09月発行

文献概要

連載 新しい臨床実習・第9回【最終回】

臨床実習の課題と展望

著者: 山田千鶴子1

所属機関: 1学校法人日本リハビリテーション学舎専門学校社会医学技術学院

ページ範囲:P.1091 - P.1095

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はじめに

 理学療法士・作業療法士の養成カリキュラム(以下,カリキュラム)が約20年ぶりに変更された.1963年,国立療養所東京病院に,初めて理学療法士・作業療法士の養成校である附属リハビリテーション学院が開設されて60年近く経つ.そのころの臨床実習は,在日米軍基地内の医療施設で実施され,指導者は米国人の理学療法士・作業療法士だったと聞いているが,これまでの実習指導の形態は,多少の変化があったにしても,当時から大きくは変わっていないものと推測する.

 以来4回カリキュラムの改正が行われ,履修科目の内容と必要時間数は変わったが,臨床実習に関しては必要時間数の変更のみであり,今回の改正のように時間数の上限が決められたり,指導方法にまで言及したことはなかったように思う(表1).今回の改正の背景はいろいろあろうが,近年,初等中等教育の重点が,知識の伝達から思考力の育成へと変化していることを考えてみれば,半世紀以上実習指導の方法について顧みられなかったことが,むしろ異常だったのかもしれない.また,その視点から見ると,今回推奨されている診療参加型臨床実習という方法が,臨床推論構築の道筋を指導していくものなら,「教えるから学ぶへ」という今の教育の大きな流れに合致するものと言えるだろう.

 しかしここで問題となるのは,指導者自身がそのように指導されてこなかったことである.自身が経験していないことを他者に実施するのに,抵抗や不安を感じるのはむしろ当然と考えられる.そこで,これからの理学療法士の臨床実習の課題と今後の展望について,指導者の要件,実習の目標,実習指導方法,実習の評価方法の4点から考えてみることとする.

参考文献

1)厚生労働省:理学療法士・作業療法士学校養成施設カリキュラム等改善検討会報告書.2018
2)公益社団法人日本理学療法士協会:臨床実習教育の手引き,第5版.pp101-105,2007
3)公益社団法人日本理学療法士協会:理学療法学教育モデル・コア・カリキュラム.pp45-48,2019
4)中川法一(編):セラピスト教育のためのクリニカル・クラークシップのすすめ,第2版.pp34-36,三輪書店,2013
5)山口 昇:PT・OT養成カリキュラム改訂に当たって—臨床実習の質の向上のために整備すべきこと.OTジャーナル2019;53:180-183
6)網本 和:新しい臨床実習 新・指定規則の概要—ここが変わった! PTジャーナル2020;54:97-101

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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