理学療法ジャーナル55巻1号

2021年01月発行

卒業論文のひろば

ダブルケアの支援につなげるための意識調査—食事介助に着目した検討

著者： 山田彩¹ 渡邉麻由¹ 村山明彦¹

所属機関： ¹群馬医療福祉大学リハビリテーション学部理学療法専攻

ページ範囲：P.115 - P.117

要旨　近年，晩産化・少子化・高齢化が同時進行し，子育てと親の介護を同時期に行う状態（以下，ダブルケア）の増加が社会問題となっている．しかし，同分野の先行研究は非常に少ない．本研究の目的は，ダブルケアを行う人たちへの支援につなげるための実践への示唆を得ることである．子育て経験の有無にかかわらず特別養護老人ホームに勤務する看護・介護職員を対象とし，独自に作成した質問紙を用いた調査を行った．その結果，育児の経験がある者からは，育児と介護の相互作用を肯定するような回答が得られた．また，育児の経験がなくとも，認知症介護の経験があることで，育児と介護の相互作用を肯定するような見解につながる可能性が示唆された．

参考文献

1）内閣府男女共同参画局：育児と介護のダブルケアの実態に関する調査報告書．2016

2）清水　一，他：知的退行の機能年齢水準への反映．作業療法1991；10：291-299

3）久野真矢，他：血管性認知症，アルツハイマー型認知症の認知機能と発達に基づいたADL能力の関連．老年精医誌2012；23：837-845

4）オリックス・リビング株式会社：「介護の日」（11月11日）に合わせ第8回「介護に関する意識調査」介護離職せず家族の介護と仕事を両立できると思うのは約1割．2015

5）西山沙百合，他：認知症の症状および介護に関する知識と認知症高齢者イメージとの関連．川崎医療福祉会誌2018；28：231-239

6）澤田景子：ダブルケアに関する研究の動向．名古屋学院大論集 社会科学篇2019；56：95-115

7）高村浩司：理学療法士に必要な臨床技能としてのハンズオフスキルと現任研修．PTジャーナル2017；51：123-128