文献詳細
文献概要
Close-up 転倒予防に活かすバランス評価
在宅生活での転倒予防に活かすバランス評価
著者: 小暮英輔1
所属機関: 1リハビリ推進センター株式会社 板橋リハビリ訪問看護ステーション
ページ範囲:P.1121 - P.1124
文献購入ページに移動はじめに
本邦における要介護高齢者は増加傾向1)であり,訪問リハビリテーションを必要としている者も年々増えている.介護を必要としている要因として転倒が18.7%1)を占める.訪問リハビリテーションの対象となる要介護高齢者を対象にした調査では,転倒率が25.3%であり,そのうち骨折した者は9.7%と報告されている2).このように,転倒により骨折を受傷しさらなる心身機能低下を引き起こす可能性があることから,在宅における転倒予防に活かすためのバランス評価は重要と考える.
東京消防庁3)によると高齢者の転倒発生場所は,居間・寝室,玄関・勝手口,廊下・縁側・通路,トイレ・洗面,台所・ダイニングの順に多いと言われている.転倒要因はさまざまな要因が複合して生じており,バランス能力などの身体的要因のほかに認知機能,服薬状況4)も影響するので生活動作の自立基準について明確に述べるのは難しい.また,在宅における訪問リハビリテーションは,1回40〜60分であることが多く,週1〜2回の頻度であるため,短時間かつ簡便にバランス,動作観察,環境設定についての評価が必要となる.本稿では,筆者が訪問リハビリテーションで使用しているバランス評価,それを補う環境設定について述べる.
本邦における要介護高齢者は増加傾向1)であり,訪問リハビリテーションを必要としている者も年々増えている.介護を必要としている要因として転倒が18.7%1)を占める.訪問リハビリテーションの対象となる要介護高齢者を対象にした調査では,転倒率が25.3%であり,そのうち骨折した者は9.7%と報告されている2).このように,転倒により骨折を受傷しさらなる心身機能低下を引き起こす可能性があることから,在宅における転倒予防に活かすためのバランス評価は重要と考える.
東京消防庁3)によると高齢者の転倒発生場所は,居間・寝室,玄関・勝手口,廊下・縁側・通路,トイレ・洗面,台所・ダイニングの順に多いと言われている.転倒要因はさまざまな要因が複合して生じており,バランス能力などの身体的要因のほかに認知機能,服薬状況4)も影響するので生活動作の自立基準について明確に述べるのは難しい.また,在宅における訪問リハビリテーションは,1回40〜60分であることが多く,週1〜2回の頻度であるため,短時間かつ簡便にバランス,動作観察,環境設定についての評価が必要となる.本稿では,筆者が訪問リハビリテーションで使用しているバランス評価,それを補う環境設定について述べる.
参考文献
1)内閣府:令和元年度 高齢化の状況及び高齢社会対策の実施状況.https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2020/html/zenbun/index.html(2021年7月8日閲覧)
2)鈴川芽久美,他:要介護高齢者における転倒と骨折の発生状況.日老年医会誌2009;46:334-340
3)東京消防庁:救急搬送データからみる高齢者の転倒.https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/topics/202009/kkhansoudeta.html(2021年7月8日閲覧)
4)Kojima T, et al:Polypharmacy as a risk for fall occurrence in geriatric outpatients. Geriatr Gerontol Int 2012;12:425-430
5)Chou CY, et al:Developing a short form of the Berg Balance Scale for people with stroke. Phys Ther 2006;86:195-204
6)岡 真一郎,他:急性期脳血管障害症例におけるShort Form Berg Balance Scaleの信頼性,妥当性の検討.理療科2016;31:293-296
7)Mcllroy WE, et al:Age-related changes in compensatory stepping in response to unpredictable perturbations. J Gerontol A Biol Sci Med Sci 1996;51:M289-M296
8)知花弘吉,他:交差点付近における高齢者と健常者の注視特性.日本建築学会計画系論文集2008;73:319-324
9)桂 敏樹,他:階段下降時における転倒高齢者の視覚による情報探索の特性—アイマークレコーダを用いた転倒高齢者,非転倒高齢者,中年者,若年者の定性分析一(研究活動報告2).京都大学医学部保健学科紀要健康科学2005;2:67-71
10)牧迫飛雄馬,他:日本語版—改訂Gait Efficacy Scaleの信頼性および妥当性.理学療法学2013;4:87-95
掲載誌情報