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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル55巻10号

2021年10月発行

文献概要

報告

夜間痛を合併した拘縮期の肩関節周囲炎における臨床的特徴

著者: 赤羽根良和1 竹中裕2

所属機関: 1さとう整形外科 2山内ホスピタル

ページ範囲:P.1147 - P.1152

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要旨 【目的】拘縮肩に続発した夜間痛の程度と臨床的特徴を検証するため,非夜間痛群,夜間痛軽度群,夜間痛重度群の3群間に分類し検討した.【方法】対象は肩関節周囲炎150例150肩である.肩甲上腕関節の位置関係は肩関節X線像からacromion humeral interval(AHI),humeral head diameter(HHD),AHI/HHD比,glenoid humeral angle(GHA)を測定し,肩関節可動域は屈曲,外旋,内旋角度を測定し,それぞれを比較した.【結果】AHI,HHD,AHI/HHD比は3群間で有意差を認めなかった.GHAは非夜間痛群と比較して夜間痛軽度群,夜間痛重度群が有意に大きく(p<0.01,p<0.01),夜間痛軽度群と比較して夜間痛重度群が有意に大きかった(p<0.01).肩関節の屈曲角度は非夜間痛群,夜間痛軽度群と比較して夜間痛重度群が有意に小さかった(p<0.01,p<0.01).外旋・内旋角度は非夜間痛群と比較して夜間痛軽度群,夜間痛重度群が有意に小さく(p<0.01,p<0.01),夜間痛軽度群と比較して夜間痛重度群が有意に小さかった(p<0.01).【結語】拘縮肩は夜間痛の程度に応じて肩甲上腕関節の位置異常や可動域制限が顕著となる.

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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