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特別寄稿
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)第5波までを経験して—理学療法士の役割とリスク管理について考える
著者: 北原エリ子12 山崎優太1 亀山啓博1 望月正道1 高橋哲也12 藤原俊之123
所属機関: 1順天堂大学医学部附属順天堂医院リハビリテーション室 2順天堂大学保健医療学部理学療法学科 3順天堂大学大学院医学研究科リハビリテーション医学
ページ範囲:P.1249 - P.1255
文献購入ページに移動2020年4月より新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019:COVID-19)患者に対するリハビリテーションを開始し,第5波の2021年8月までに入院患者194名に対する理学療法を経験してきた.その間,昨年参加した本誌の座談会1)において他病院のエキスパートの方々の話に大きな影響を受け,さまざまなリハビリテーションに関する報告2〜6)に学びながら手探りで理学療法を行ってきた.
第4波以降にはそれまでとは違う年齢層,重症度,経過を示すリハビリテーションの対象患者が急増した(図1).また,第5波では40〜50歳台の患者が激増し,high flow nasal cannula(HFNC)を使用する患者に対する理学療法を多く経験した.この新たな患者群に対しては,従来行ってきた理学療法の内容とは異なる評価とプログラムの早急な検討を迫られた.同時期に全国的にもCOVID-19患者の受け入れ病院が増加し,COVID-19患者のリハビリテーションを新たに開始する病院があることを聞き及び,当院にも感染対策や理学療法内容などについて問い合わせが多く寄せられるようになった.
これまでにどのような感染対策のもと,どのような評価と理学療法を行い,そして現在,どのような課題を抱えているのか,われわれの限られた経験であるが報告する意義があると認識し,今回の寄稿に至った.
本稿においては,まず当院が行ってきた感染対策と人員配置体制,COVID-19患者の理学療法を行うにあたって必要と考える基礎知識,軽症・中等症・重症の患者に対して行っている理学療法評価と理学療法プログラムについて解説する.そして今現在も抱えている課題として,第4波途中より経験した労作時の酸素需要が高い患者に対する理学療法の開始基準と中止基準についても共有したい.
参考文献
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