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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル55巻11号

2021年11月発行

文献概要

特別寄稿

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)第5波までを経験して—理学療法士の役割とリスク管理について考える

著者: 北原エリ子12 山崎優太1 亀山啓博1 望月正道1 高橋哲也12 藤原俊之123

所属機関: 1順天堂大学医学部附属順天堂医院リハビリテーション室 2順天堂大学保健医療学部理学療法学科 3順天堂大学大学院医学研究科リハビリテーション医学

ページ範囲:P.1249 - P.1255

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はじめに

 2020年4月より新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019:COVID-19)患者に対するリハビリテーションを開始し,第5波の2021年8月までに入院患者194名に対する理学療法を経験してきた.その間,昨年参加した本誌の座談会1)において他病院のエキスパートの方々の話に大きな影響を受け,さまざまなリハビリテーションに関する報告2〜6)に学びながら手探りで理学療法を行ってきた.

 第4波以降にはそれまでとは違う年齢層,重症度,経過を示すリハビリテーションの対象患者が急増した(図1).また,第5波では40〜50歳台の患者が激増し,high flow nasal cannula(HFNC)を使用する患者に対する理学療法を多く経験した.この新たな患者群に対しては,従来行ってきた理学療法の内容とは異なる評価とプログラムの早急な検討を迫られた.同時期に全国的にもCOVID-19患者の受け入れ病院が増加し,COVID-19患者のリハビリテーションを新たに開始する病院があることを聞き及び,当院にも感染対策や理学療法内容などについて問い合わせが多く寄せられるようになった.

 これまでにどのような感染対策のもと,どのような評価と理学療法を行い,そして現在,どのような課題を抱えているのか,われわれの限られた経験であるが報告する意義があると認識し,今回の寄稿に至った.

 本稿においては,まず当院が行ってきた感染対策と人員配置体制,COVID-19患者の理学療法を行うにあたって必要と考える基礎知識,軽症・中等症・重症の患者に対して行っている理学療法評価と理学療法プログラムについて解説する.そして今現在も抱えている課題として,第4波途中より経験した労作時の酸素需要が高い患者に対する理学療法の開始基準と中止基準についても共有したい.

参考文献

1)岩田健太郎,他:COVID-19治療最前線での理学療法—第2波,その先に向けて.PTジャーナル2020;54:796-801
2)Thomas P, et al:Physiotherapy management for COVID-19 in the acute hospital setting:clinical practice recommendations. J Physiother 2020;66:73-82
3)Kurtaiş Aytür Y, et al:Pulmonary rehabilitation principles in SARS-COV-2 infection (COVID-19):A guideline for the acute and subacute rehabilitation. Turk J Phys Med Rehabil 2020;66:104-120
4)玉木 彰,他(監訳):COVID-19感染患者に対する急性期呼吸理学療法:イタリア呼吸理学療法士協会(ARIR)のポジションペーパー(日本語訳).Lazzeri M, et al:Respiratory physiotherapy in patients with COVID-19 infection in acute setting:a Position Paper of the Italian Association of Respiratory Physiotherapists(ARIR). Monaldi Arch Chest Dis 2020;90:1285. doi:10.4081/monaldi.2020.1285
5)浅野大喜,他.COVID-19による入院患者2例への理学療法介入報告.理学療法学2020;47:483-490
6)横山仁志:急性期の重症呼吸不全における理学療法士の役割.Jpn J Rehabil Med 2021;58:383-389
7)厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第5.3版(2021年8月31日発行)
8)日本集中治療医学会早期リハビリテーション検討委員会:集中治療室における早期リハビリテーション—根拠に基づくエキスパートコンセンサス.日集中治療医誌2017;24:255-303
9)Devlin JW, et al:Clinical practice guidelines for the prevention and management of pain, agitation/sedation, delirium, immobility, and sleep disruption in adult patients in the ICU. Crit Care Med 2018;46:e825-e873
10)高橋哲也,他:急性期病院で働く理学療法士のミニマムスタンダード.PTジャーナル2020;54:10-20
11)片岡 惇:COVID-19の酸素・呼吸療法—生理学とこれまでのエビデンスを適切に応用する. Intensivist 2021;13:539-555

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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