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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル55巻11号

2021年11月発行

文献概要

症例報告

腓腹筋筋膜内解離を生じた症例に対する運動療法—超音波画像診断装置による損傷部位の同定と経過観察の有用性

著者: 山本紘之1 井坂晴志1 岡本和之1

所属機関: 1医療法人優進会いまむら整形外科リハビリテーション科

ページ範囲:P.1280 - P.1285

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要旨 腓腹筋近位側に生じる筋膜内解離の病態は稀であり,また運動療法についての報告はない.今回,腓腹筋内側頭の筋膜内解離を生じたスポーツ活動を行う学齢期の症例に対し,損傷部位が脆弱な時期は離開ストレスが加わらないように考慮した腓腹筋内側頭のストレッチングや,弾力包帯による圧迫を実施した.また損傷組織の安定性の獲得や筋力低下の予防,循環を促し血腫の吸収を促進する目的で,疼痛のない範囲での腓腹筋の反復収縮と補高を施行し荷重を促した.さらに,損傷部位が離開しないか超音波画像診断装置で適宜確認しながら荷重負荷を設定した.損傷部位が安定する時期までに関節可動域制限や筋力低下の改善を行えたことで,すみやかにスポーツ復帰できたと考えた.損傷部位や創傷治癒過程を考慮し,その時期に合った運動療法を展開することは,再発を防止し組織の安定化と機能を改善することができる.また損傷部位の同定や創傷治癒過程の評価,再発の有無の観点からも,超音波画像診断装置は有用なツールであると考えられた.

参考文献

1)皆川洋至:超音波でわかる運動器疾患.pp215-216,メジカルビュー社,2010
2)皆川洋至:肉離れとは違う「筋膜内解離」という病態とは? 柏口新二(編):無刀流整形外科—メスのいらない運動器治療.p228,日本医事新報社,2017
3)皆川洋至:超音波検査.臨スポーツ医2017;34:780-786
4)河上敬介,他(編):骨格筋の形と触察法,改訂第2版.pp365-371,大峰閣,2013
5)横山尚彦:神経と脈管:局所解剖.坂井達雄,他(監訳):プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論—運動器系.p507,医学書院,2007
6)今西宣晶:機能的観点からみた脂肪筋膜組織の解剖学的研究.慶應医学1994;71:T15-T33
7)Schleip R:膜・筋膜の生理学.竹井 仁(監):人体の張力ネットワーク 膜・筋膜—最新知見と治療アプローチ.pp149-155,医歯薬出版,2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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