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雑誌目次

雑誌文献

理学療法ジャーナル55巻12号

2021年12月発行

雑誌目次

特集 大腿骨近位部骨折 up to date

EOI(essences of the issue)

ページ範囲:P.1296 - P.1297

 高齢者三大骨折の1つである大腿骨近位部骨折は理学療法士が遭遇する頻度が高い疾患であり,治療法も日々進歩している.そこで本企画では,その疫学とともに外科的治療,理学療法評価,運動療法に関する最新の知見を特集する.

大腿骨近位部骨折の疫学と発生機序

著者: 森田伸

ページ範囲:P.1298 - P.1304

Point

●大腿骨近位部骨折は骨折部位により分類される

●大腿骨頸部骨折および大腿骨転子部骨折において,主に国内で調査された発生数・発生率,受傷機転・受傷場所,危険因子,予後,予防について示す

●大腿骨頸部骨折および大腿骨転子部骨折における発生機序について示す

大腿骨近位部骨折に対する外科的治療

著者: 草場敦 ,   豊田裕司 ,   鈴木雅也 ,   藤巻ゆかり ,   福井勉

ページ範囲:P.1305 - P.1312

Point

●大腿骨近位部における頸部骨折と転子部骨折の特性

●各骨折に対する外科的治療法の特徴

●各治療法における合併症と対処

大腿骨近位部骨折の周術期リハビリテーション—理学療法士が知っておきたい画像の診かたと解釈

著者: 髙井一志

ページ範囲:P.1313 - P.1323

Point

●ストーブパイプ髄腔の大腿骨頸部/転子部骨折の予後に与える影響を理解する

●治療法の特徴を理解し,Thigh painやZ effectなどの特有の症状の診かたを知る

●転子部骨折の予後に影響する生田分類やswing motionについて理解を深める

大腿骨近位部骨折と筋力—既存概念の再考と実働筋力の向上をめざして

著者: 青戸啓二

ページ範囲:P.1324 - P.1330

Point

●筋の構造と機能から筋浮腫を改善し筋力強化の礎を築く

●過負荷の原則と特異性の原則を再考し,われわれがめざす獲得すべき筋力を考える

●実働筋力につなげるコンテクスチュアルな筋コーディネーション・トレーニングを開発する

大腿骨近位部骨折と歩行

著者: 安藤将孝 ,   德田一貫

ページ範囲:P.1331 - P.1337

Point

●大腿骨近位部骨折を受傷後に歩行能力が低下する症例は多く,理学療法における大きな課題である

●術後の歩行に関連した問題点として,歩行の自立度の低下,歩行速度の低下,歩幅の短縮,Trendelenburg徴候,Duchenne徴候などが挙げられる

●術後の運動療法のなかで,下肢の筋力増強運動およびバランストレーニングは歩行能力の改善に有効である

大腿骨近位部骨折の予後と不良因子

著者: 田中暢一

ページ範囲:P.1338 - P.1343

Point

●高齢者に発生する大腿骨近位部骨折はその後の歩行能力や生命予後に大きな影響を与える

●大腿骨近位部骨折後の歩行能力の改善は特に重要であるが,そこには多くの因子が関連している

●術後リハビリテーションを行ううえで歩行能力に影響する因子を把握し改善に努めることは重要である

大腿骨近位部骨折と転倒予防

著者: 松本浩実 ,   岸本智也

ページ範囲:P.1344 - P.1349

Point

●大腿骨近位部骨折は骨粗鬆症の最大の合併症であり,受傷機転の約80%は転倒である

●大腿骨近位部骨折後に起きる再骨折の多くは初発の骨折後1年以内に生じているため,退院後も継続した身体機能の維持・改善が重要である

●骨粗鬆症リエゾンサービスにおける理学療法士の重要な役割は,本骨折後患者の再転倒予防のための転倒リスク評価や運動指導である

Close-up 2040年問題と高等教育改革

2040年に向けた高等教育—その方向性と改革—新型コロナウイルスパンデミックを奇貨とした高等教育改革に向けて

著者: 永田恭介

ページ範囲:P.1353 - P.1356

VUCAの時代

 新型コロナウイルス感染症は,驚異的なスピードで世界中に広がり,人の健康のみならず経済にも深刻な影響を与え,究極的には世界秩序をも変容させてしまっている.われわれはこれらを目の当たりにし,あらためてグローバル化した社会という現実を再認識させられている.まさにこの感染症は拡大鏡のように,格差と分断を多様な観点ではっきりとさせた.

 例えば,地域間の格差,教育における格差,就労職業や労働環境の格差,ジェンダー不平等による格差,また宗教対立による分断,人種差別による分断,価値観・世界観における分断などである.このような格差と分断は,他の事柄へと伝播し,大気汚染や地球温暖化などの環境問題を議論する際に決定的な意見の違いを生み出すことにつながっている.世界は混迷し,その行方は不確実なものとなってしまった.

2040年に向けた医療者教育—その方向性と改革

著者: 福島統

ページ範囲:P.1357 - P.1360

はじめに

 「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」1)(中央教育審議会)で書かれていることを医療者教育の立場から考えてみることにする.2040年に必要とされる人材として,「予測不可能な時代の到来を見据えた場合,専攻分野についての専門性を有するだけではなく,思考力,判断力,俯瞰力,表現力の基盤の上に,幅広い教養を身に付け,高い公共性・倫理性を保持しつつ,時代の変化に合わせて積極的に社会を支え,論理的思考力を持って社会を改善していく資質を有する人材」を挙げている.医療者教育における人文科学や社会科学の意義について考えてみる必要がある.

 2040年を見据えた高等教育と社会の関係では,「大学は,教育と研究を一体不可分のものとして人材育成と研究活動を行っており,(中略)その活動が,現在の社会を支え,また未来の社会を創出するために貢献していくことは重要であり,(中略)高等教育は,我が国のみならず世界が抱える課題に教育と研究を通じて真摯に向き合い,新たな社会・経済システム等の提案をしていくこと,その成果を社会に還元することを通じて,社会からの評価と支援を得るという好循環を形成することにより」とある.このことは,地域における高等教育として,「地域の高等教育機関が高等教育という役割を超えて,地域社会の核となり,産業界や地方公共団体等とともに将来像の議論や具体的な連携・交流等の方策について議論する『地域連携プラットフォーム(仮称)』を構築することが必要である.各高等教育機関は地域の人材を育成し,地域の行政や産業を支える基盤である.これを十分に機能させていくためには,常に地域において何が必要とされているのか,地域に対して当該高等教育機関が何を提供できるのか,等の観点についての情報共有と連携が欠かせない」とつながり,専門学校を含む大学が地域・都道府県・国のレベルでのニーズを把握し,行政・産業・住民とともに協働して社会の課題に取り組む責任があることを強調している.

 答申ではほかにも学修者本位の教育への転換,多様な価値観が集まるキャンパス,リカレント教育,教育の質保証などが論じられているが,本論考では医療者教育の視点から,「医療者教育における人文科学・社会科学の意義」と「専門学校・大学と社会—教育組織の社会貢献」を取り上げてみる.

2040年に向けたオンライン・デジタル教育改革—初年次教育—オンラインでつながる場作りを/20年後の医学教育—オンライン教育を含めた教育のあり方を再考する

著者: 澤田忠幸 ,   淺田義和

ページ範囲:P.1361 - P.1364

初年次教育—オンラインでつながる場作りを

1.初年次教育とは

 初年次教育(first-year experiences)とは,高等学校から大学への生活面や学修面での移行をスムーズに行うことを目的につくられた正課内外にわたる総合的教育プログラムを指している1).いわゆる高校での学習内容の補習(リメディアル)教育や専門科目への導入教育とは区別されている.具体的には,従来,新入生の大学生活への初期適応や大学での学修に必要な基本的な学習スキルの修得などに重きが置かれてきた.しかし,今日では,学部学科の枠を超えて,将来の社会人としても必要なコミュニケーション力や批判的思考力などの「汎用的技能(ジェネリックスキル)」の修得,ひいてはキャリア自律支援の第一歩としても位置づけられる傾向にある2)

連載 とびら

育てることと信じること

著者: 鈴木里砂

ページ範囲:P.1293 - P.1293

 長期臨床実習から帰ってきた学生と久々に再会すると,技術的な成長以上に,言葉遣いや立ち振る舞いが大きく変化した学生の成長に感動すら覚えることがある.学内教育では変わらなかった学生が,実習後大きく行動変容している姿をみると実習指導者への感謝と同時に,教員としての無力感を覚えることがある.

再考します 臨床の素朴な疑問・第12回【最終回】

腰椎椎間板ヘルニアに対する運動療法の効果とその機序は?

著者: 石田和宏 ,   宮城島一史 ,   森川大貴

ページ範囲:P.1366 - P.1367

 腰椎椎間板ヘルニア(lumbar disc herniation:LDH)は,臨床において頻繁に遭遇する腰部疾患の1つである.下肢痛やしびれを主訴とし,下肢に進行性の運動麻痺を認める場合,あるいは膀胱直腸障害を認める場合には手術治療が絶対的な適応となるが,多くの場合は保存療法が第一選択となる.保存療法としては,薬物治療,硬膜外・神経根ブロック,運動療法が代表的な治療として挙げられる.そのなかでも運動療法は非侵襲的であり,副作用や合併症などのリスクも低いことから,患者が望まないケースを除き,一般的には選択されやすい.

 本稿では,LDHに対する運動療法の効果・種類,機序,および適応と限界について近年のエビデンスに基づき解説する.

診療参加型臨床実習・第12回【最終回】

卒後研修・生涯学習からみた診療参加型臨床実習の展望

著者: 斉藤秀之

ページ範囲:P.1368 - P.1372

はじめに

 本連載は,理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則(以下,指定規則)の改正などに込められた社会の要請に応える診療参加型臨床実習について,形式的な定義や指導方法の細部に拘泥するのではなく,本質を理解することを目的としている.そのなかで,「卒後研修・生涯学習からみた診療参加型臨床実習の展望」が筆者に与えられたテーマである.そこで本稿では,職能団体である公益社団法人日本理学療法士協会(以下,協会)がめざす卒後研修制度となる新生涯学習制度を踏まえて,理学療法士免許取得前に行われる診療参加型臨床実習に期待する枠組みや内容について提言する.

国試から読み解く・第24巻【最終回】

呼吸循環代謝指標を理解する

著者: 正保哲

ページ範囲:P.1376 - P.1377

 健常成人に対して自転車エルゴメーターを用いて10Wattsから開始し,1分間に15Watts増加させるランプ負荷法で自覚的最大運動強度まで運動負荷を行った.その際の呼吸循環代謝指標の変化を図に示す.縦軸は一回拍出量,横軸は時間経過を示す.

 一回拍出量の変化を示すのはどれか.

臨床実習サブノート 診療参加型臨床実習—「ただ見ているだけ」にならないように!・9

慢性閉塞性肺疾患

著者: 杉谷竜司 ,   有薗信一 ,   東本有司

ページ範囲:P.1378 - P.1382

はじめに

 慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)は,タバコ煙を主要因とする肺の疾患です.肺胞壁の破壊や気道炎症により,運動耐容能の低下や呼吸困難感などを来し,ADLやQOLの低下を引き起こします.ADL自体は自立して可能なことが多く,局所的な筋力低下が生じることも少ないため,他の分野とは着目すべきポイントが異なります.重症度や病期(急性期,安定期)によって,理学療法の介入内容は変化しますが1),本稿ではリハビリテーション室に初めて来室したCOPD患者に対する診療参加型実習(clinical clerkship:CCS)のポイントを解説します.

私のターニングポイント・第23回

人との出会いとつながりを大切に

著者: 福富利之

ページ範囲:P.1373 - P.1373

 私の理学療法士人生におけるターニングポイントは大きく3つありました.
① 「あなたとは歩けない」と担当患者さんに言われた
② 理学療法士を辞めようと思っていたときに出会ったベテラン理学療法士と患者さん
③ 環境を変えるときの心の動きと大切な人の存在

症例報告

慢性疼痛患者に対する認知行動療法的介入の経過—理学療法士のかかわりを中心に

著者: 佐藤雅恭 ,   西尾大祐 ,   本田哲三

ページ範囲:P.1383 - P.1388

要旨 慢性腰痛患者に対する認知行動療法に基づいた介入における,理学療法士のかかわりと身体機能の変化を報告する.症例は45歳の男性で交通事故後に腰背部の疼痛発作が出現し,4年間マッサージや物理療法を受けたものの改善しなかった.当院初診から1か月間は,週1回外来で投薬と身体・行動心理学的な評価を実施し,次いで3か月間は認知行動療法に基づく集学的アプローチを施行した.理学療法部門は弱化筋の賦活,過用筋や防御性収縮のストレス緩和のための運動療法と動作指導,全身のストレッチと筋力トレーニングのホームプログラムを指導した.本経過中,理学療法士は患者のさまざまな訴えへの対応を迫られながらも,否定的な認知の改善に向けて,痛みを肯定も否定もしない中立的な立場を心がけ,行動の変容をサポートした.その結果,自覚的な疼痛が軽減し身体機能も著明に向上した.認知行動療法的対応は,慢性疼痛への理学療法に有用な手法となり得る.

紹介

ゲーミング・シミュレーションの手法を用いた災害リハビリテーション教育ツールの開発と検証

著者: 佐藤亮

ページ範囲:P.1389 - P.1391

要旨 【目的】筆者らは熊本地震を経験し,要配慮者などに対する直接的な支援と,支援チームの受け入れなど現地本部運営を担う受援の双方のトレーニングの重要性を再認識した.また,災害リハビリテーションの知識や経験を有して活動できる人材もいまだ少ない.そこで災害リハビリテーションに関しゲーミング・シミュレーションの特性を生かした教育ツール「大規模災害リハビリテーション支援チーム本部運営ゲーム(Disaster Rehabilitation assistance team Honbu Unei Game:REHUG)」を開発し,ゲーム内容について検証したため紹介する.【方法】ゲーム参加者およびファシリテーターを対象にアンケートを用いて客観的にゲームの特性を検証した.【結果】全国20地域でREHUGを用いた研修が行われ,ゲームの難度は高いが教育ツールとして役に立ちそうであるという評価を得られた.ゲームを通して,参加者に災害リハビリテーション研修を受講する必要性について啓発できたと思われる.【結論】災害リハビリテーションの研修を受講したリハビリテーション関連職が増えることは,次の災害に備えるためにきわめて重要である.

ひろば

理学療法の本質とアート

著者: 藤澤宏幸

ページ範囲:P.1392 - P.1392

 神がつくれば自然(nature)であり,人間がつくればアート(art)となります.Artの語源はラテン語のars(アルス:技術)であり,腕(arm)と同源です.すなわち,人の手による創造・創作がアートということになりましょう.ベルクソンが人間の本質は創造活動にあるとし,人間をホモ・ファーベル(工作人)と言ったのは有名な話です1).それだけ,創造・創作ということが人間の活動にとって重要であると言えます.

 ところで,理学療法はサイエンスとアートの両面をもつと言われますが,サイエンスが自然の摂理を探究する学問であるのに対して,アートは人の手による創造物です.その意味で,理学療法士は科学的知見に基づきながらも,対象者一人ひとりに対する創造的な治療を大切にしていることを表しているわけです.筆者はそれを生命倫理に基づく理学療法の枠組みモデルとして捉えています.

臨床のコツ・私の裏ワザ

足部アーチのエクササイズのコツ—クラシックバレエダンサーの一例

著者: 矢部信明

ページ範囲:P.1374 - P.1375

 機能的な足部アーチを維持する,あるいは形成していくことは,臨床において多々必要となる.

 今回,クラシックバレエダンサーのアキレス腱断裂後の理学療法を経験した.バレエに不可欠な足部アーチをつくるためには,後脛骨筋,長母趾屈筋,長腓骨筋,短腓骨筋などの筋力トレーニングが必須である.特に後脛骨筋,前脛骨筋,長腓骨筋,短腓骨筋の同時収縮を行う.図1はメディシンボール(1kg)を両足底部で把持している.図2は両足趾で把持しており,長母趾屈筋,長趾屈筋,足底内在筋を収縮することで,足部アーチを安定させる効果があると考える.足の内在筋は,動的なアーチ,推進力の維持や,足の微調整のためにも重要である1).それぞれ30秒を1〜3セット実施した.

書評

—相澤純也・大見武弘(監訳)—「アナトミカル キネシオロジー」

著者: 坂井建雄

ページ範囲:P.1351 - P.1351

 平成の時代に入った1990年頃から,医学・医療は大きく変貌してきた.それまでの経験知に基づく医学から,科学的検証に基づいた医学へと変わり,さまざまな医療職種が連携して医療を行うようになった.医師・歯科医師以外に,21の医療職が国家資格として認められている.これらの医療職の仕事は,特有の専門知識や特殊技能を必要としており,学生教育にあたってもその職種ごとに適切なアプローチが必要である.例えば理学療法士や柔道整復師が基礎として必要とする運動器の解剖学の知識は,一般的な医師がもつべきものをはるかに凌駕している.しかも解剖学の最良の教材である人体解剖実習は,基本的に医学と歯科医学の学生にしか許されていない.特に運動器の解剖学の知識は膨大なもので,全身には87種類206個の骨があり,それぞれの骨に突起や陥凹などの部分に至るまで名前がついている.全身の骨格筋は229種類600個以上で,それぞれの筋について起始・停止の部位,神経支配,作用の情報が伴っている.世界中の理学療法学の教員と学生は,運動器の解剖学の教育と学習に大いに苦慮している.しかもわが国では1990年代から養成校が急速に増えて,2021年度には279校(大学121,短期大学8,専門職大学5,専門学校145),入学定員14,574人に達している.また運動器の解剖学については,昨今の筋トレブームなどもあり,スポーツ愛好家を含め一般の人たちも強い関心をもつようになっている.

 そういった運動器の解剖学の人気と需要を前置きに,本書『アナトミカル キネシオロジー』をご紹介する.キネシオロジー(運動学)と言えば,身体運動すなわち運動器の機能を教える分野である.教科書として日本語で執筆されたものや英語から翻訳されたものがいくつもあるが,本書はそういったキネシオロジーを扱うものではない.解剖学的視点から学ぶキネシオロジーの基礎,あるいはキネシオロジーを視野に入れた運動器の機能解剖学である.さらに欧米で編まれた最近のいくつかの解剖学書と同様に,明瞭でわかりやすい図版と,情報をよく整理したレイアウトが秀逸である.巻末に切り離せるワークブックを収載しているのも,学習者への配慮としてよいセンスである.翻訳にあたっては,若手で頭角を現しているお2人を中心に,現役の理学療法士の人たちがチームをつくっておられるので,大いに期待されるところである.

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目次

ページ範囲:P.1294 - P.1295

文献抄録

ページ範囲:P.1394 - P.1395

「作業療法ジャーナル」のお知らせ

ページ範囲:P.1382 - P.1382

バックナンバー・次号予告のお知らせ

ページ範囲:P.1398 - P.1399

編集後記

著者: 金谷さとみ

ページ範囲:P.1400 - P.1400

 転倒が原因の大腿骨近位部骨折の発生率は,高齢化率とともに今も増え続けています.それでも欧米に比べると低いようで,それを脚長と関連づける医師もいます.いずれにせよ,その発生率の高さをみると,転倒予防を担うわれわれ理学療法士としては気がかりでなりません.本号の特集は,今や脳卒中と並ぶ理学療法の代表的な疾患となった大腿骨近位部骨折について,あらためて熟考する機会になったと思います.

 森田論文では疫学と発生機序に関する貴重な最新情報が述べられており,これらは受傷後の理学療法だけでなく,転倒予防にかかわる理学療法士にも有益な情報ばかりです.草場論文では大腿骨近位部骨折の分類やそれに適応した外科的治療について,わかりやすく解説されています.髙井論文では周術期の理学療法を実施するうえで欠かせない画像の診かたとその解釈について,実践に基づいて述べられており,必見です.青戸論文では筋力増強に着目し,単なる強化ではなく戦略的なアプローチについて述べています.安藤論文は歩行能力の獲得に関して,田中論文では大腿骨近位部骨折の予後と不良因子について,いずれもエビデンスを踏まえて解説されています.松本論文では骨折後の高齢者に対する骨折リエゾンサービスによる再転倒予防のための理学療法士の評価や運動指導の重要性について述べられています.大腿骨近位部骨折について,今までにない切り口で組み立てた本特集はとても興味深く,どの論文も読みごたえのあるものでした.

読者の声募集

ページ範囲:P. - P.

基本情報

理学療法ジャーナル

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1359

印刷版ISSN 0915-0552

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