icon fsr

文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル55巻2号

2021年02月発行

文献概要

Close-up 訪問理学療法のおもしろさ

呼吸を極めて効果的に

著者: 中田隆文1

所属機関: 1マリオス小林内科クリニックリハビリテーション科

ページ範囲:P.185 - P.188

文献購入ページに移動
地域における呼吸障害者

 本邦の公的介護保険制度(以下,介護保険)の要介護に認定される国民は増加の一途をたどり,その背景は多様化している.要介護となる原因疾患としては中枢神経疾患,運動器疾患,認知症が多いが,内部障害も一定数存在し,心疾患,糖尿病,呼吸器疾患が代表的(図1)1)である.内部障害における代表的な症状である呼吸困難はさまざまな原因で出現し,身体機能,心理,さらに活動や参加を制限する要因となるだけではなく,生命を脅かす可能性も含んでおり,臨床において重要な項目である.

 また,神経筋疾患患者,末期がん患者,医療的ケア児,医療・介護関連肺炎(nursing and healthcare associated pneumonia:NHCAP)に関する呼吸理学療法のニーズも高まっている(表1).呼吸器症状の評価において「呼吸困難」は最も重要な項目であるが,その原因は呼吸器疾患に限らず,心不全や代謝性疾患,心理的要因など多岐にわたる.そして,呼吸理学療法は「呼吸困難」を軽減・緩和し得る方法である.

参考文献

1)全国デイ・ケア協会:令和元年度厚生労働省老人保健健康増進等国庫補助金事業 通所・訪問リハビリテーションの目的を踏まえた在り方に関する調査研究事業報告書.2020.https://day-care.jp/wp/wp-content/uploads/fa15e10924242c4141492d390f170c41.pdf(2020年11月7日閲覧)
2)日本緩和医療学会 緩和医療ガイドライン作成委員会(編):がん患者の呼吸器症状の緩和に関するガイドライン(2016年版).pp14-16,金原出版,2016
3)前山愛実,中田隆文:訪問リハビリを施行した慢性閉塞性肺疾患患者の急変について.東北理療2013;25:49-54
4)Spruit MA, et al:An official American Thoracic Society/European Respiratory Society statement:key concepts and advances in pulmonary rehabilitation. Am J Respir Crit Care Med 2013;188:e13-64. doi:10.1164/rccm.201309-1634ST
5)Evans RA, et al:Pulmonary rehabilitation is successful for COPD irrespective of MRC dyspnoea grade. Respir Med 2009;103:1070-1075
6)Anne EH, et al:Breathing exercises for chronic obstructive pulmonary disease. Cochrane Database Syst Rev 2012;10:CD008250. doi:10.1002/14651858.CD008250.pub2
7)Marsaa K, et al:Danish respiratory society position paper:palliative care in patients with chronic progressive non-malignant lung diseases. Eur Clin Respir J 2018;5:1530029. doi:10.1080/20018525.2018.1530029
8)Marciniuk DD, et al:Managing dyspnea in patients with advanced chronic obstructive pulmonary disease:a Canadian Thoracic Society clinical practice guideline. Can Respir J 2011;18:69-78
9)平林大輔,中田隆文:当院訪問リハを利用した在宅ALS患者の呼吸療法の実施内容と転帰.東北理療2018;30:39-43
10)平原佐斗司,他:在宅での急性期対応.内科的疾患進行期の医学的管理.日本在宅医学会テキスト編集委員会(編):在宅医療テキスト.pp213-244,335-369,メディカルレビュー社,2009
11)中田隆文,他:在宅急性期の訪問リハビリテーションの在り方.訪問リハ2020;10:20-27
12)日本緩和医療学会緩和医療ガイドライン作成委員会(編):がん患者の呼吸器症状の緩和に関するガイドライン2011年版.pp22-23,金原出版,2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?