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Close-up 特発性正常圧水頭症を知る
特発性正常圧水頭症の診断と治療
著者: 伊達勲12
所属機関: 1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経外科 2日本正常圧水頭症学会
ページ範囲:P.299 - P.303
文献購入ページに移動正常圧水頭症(normal pressure hydrocephalus:NPH)は,歩行障害,認知障害,排尿障害を三主徴とする進行性の疾患である.脳脊髄液の吸収障害に起因し,シャント手術によって症状の改善が得られる.正常圧水頭症は原因が明らかな二次性正常圧水頭症(secondary NPH:sNPH)と,原因が不明の特発性正常圧水頭症(idiopathic NPH:iNPH)に分類される.sNPHはくも膜下出血や髄膜炎を原因として発症するので診断は比較的容易である.一方,iNPHは緩徐に進行する疾患であり,同様に緩徐に進行するその他の変性疾患などとの鑑別が治療の面からも重要である.
日本正常圧水頭症学会では,多施設共同研究としてこれまで2つの臨床研究を行ってきた.Study of Idiopathic Normal Pressure Hydrocephalus on Neurological Improvement(SINPHONI)研究では,MRIでのiNPH診断の妥当性について1),SINPHONI-2研究では腰部くも膜下腔腹腔シャント術(Lumbo-peritoneal shunt:L-P shunt)の有効性について2)である.また,iNPHの診療ガイドライン第1版を2004年3),第2版を2011年4),そして第3版を2020年5)に発刊している.
本稿では,iNPHの診断と治療について解説し,これまでに発刊された診療ガイドラインとSINPHONI研究について述べる.
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