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連載 臨床実習サブノート 運動器疾患の術後評価のポイント—これだけは押さえておこう!・12【最終回】
上腕骨近位端骨折
著者: 沖田学1 榎本晃久2
所属機関: 1愛宕病院脳神経センターニューロリハビリテーション部門 2愛宕病院リハビリテーション部
ページ範囲:P.334 - P.340
文献購入ページに移動「この患者さんの担当をお願いします」と上腕骨近位端骨折患者の担当になったとき,まず何をするべきでしょうか.担当医師からの処方内容を確認すれば,患者さんと向き合っていくだけでよいのか.クリニカルパスやプロトコールに従って理学療法を進めるだけでよいのか.指示や決まりごとに従うだけでは,患者個人に合った最良の理学療法は提供できません.理学療法士は患者個人の症候学に準拠した治療者ということを忘れてはならないのです.
症候とは患者が自覚的に感じる“症状”と他者が客観的に捉える“徴候”の短縮語です1).整形外科医は患者の病状を診断学に準拠して治療(手術や投薬)を展開しますが,理学療法士は患者固有の症候を把握して治療(運動療法)を展開していきます.つまり,理学療法はクリニカルパスなど定型的な治療の流れに準拠しながらも患者個人の症候から病態を解釈してオーダーメイドの治療を展開していくのです.そのため,理学療法士には多角的な視点が必要となります.本稿では上腕骨近位端骨折患者の診方を中心に,担当してから目標を決めるまでの流れ(図1)を合わせて紹介していきます.
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