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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル55巻3号

2021年03月発行

文献概要

連載 臨床実習サブノート 運動器疾患の術後評価のポイント—これだけは押さえておこう!・12【最終回】

上腕骨近位端骨折

著者: 沖田学1 榎本晃久2

所属機関: 1愛宕病院脳神経センターニューロリハビリテーション部門 2愛宕病院リハビリテーション部

ページ範囲:P.334 - P.340

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はじめに

 「この患者さんの担当をお願いします」と上腕骨近位端骨折患者の担当になったとき,まず何をするべきでしょうか.担当医師からの処方内容を確認すれば,患者さんと向き合っていくだけでよいのか.クリニカルパスやプロトコールに従って理学療法を進めるだけでよいのか.指示や決まりごとに従うだけでは,患者個人に合った最良の理学療法は提供できません.理学療法士は患者個人の症候学に準拠した治療者ということを忘れてはならないのです.

 症候とは患者が自覚的に感じる“症状”と他者が客観的に捉える“徴候”の短縮語です1).整形外科医は患者の病状を診断学に準拠して治療(手術や投薬)を展開しますが,理学療法士は患者固有の症候を把握して治療(運動療法)を展開していきます.つまり,理学療法はクリニカルパスなど定型的な治療の流れに準拠しながらも患者個人の症候から病態を解釈してオーダーメイドの治療を展開していくのです.そのため,理学療法士には多角的な視点が必要となります.本稿では上腕骨近位端骨折患者の診方を中心に,担当してから目標を決めるまでの流れ(図1)を合わせて紹介していきます.

参考文献

1)平山恵造:序文.神経症候学Ⅰ,改訂第2版.i-v,文光堂,2006
2)萩野 浩:高齢者の骨折.PTジャーナル2005;39:5-11
3)篠崎俊郎,他:上腕骨近位端骨折に対する保存療法の検討.整外と災害2007;56:499-502
4)沖田 学:上肢骨折の病期別理学療法ガイドライン.理学療法2002;19:94-104
5)沖田 学,他:エビデンスを参照した上腕骨近位端骨折患者に対する理学療法の考え方と進め方.理学療法2019;36:106-113
6)Handoll HH, et al:Interventions for treating proxilnal humeral fractures in adults. Cochrane Database Syst Rev 2015;CD000434. doi:10.1002/14651858.CD000434.pub4
7)沖田 実:関節可動域制限の発生メカニズムとその対処.理学療法学2012;39:226-229
8)Trudel G, et al:Contractures secondary to imlnobility:is the restriction articular or muscular? An experilnenta1 longitudinal study in the rat knee. Arch Phys Med Rehabil 2000;81:6-13
9)Maclntyre NJ, et al:Rehabilitation of proximal humerus fractures:a scoping review. SM J Trauma Care 2017;1:1001
10)Pantë F:整形外科疾患に対する認知運動療法.Pantë F(著),小池美納(訳),宮本省三(編):認知運動療法講義.pp141-172,協同医書出版社,2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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