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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル55巻3号

2021年03月発行

文献概要

症例報告

自己末梢血幹細胞移植と理学療法によって復職に至ったPOEMS症候群の1症例

著者: 望月英樹1 島津尚子1 上杉上1 佐久間藤子1 水落和也1 中村健2

所属機関: 1横浜市立大学附属病院リハビリテーション科 2横浜市立大学医学部リハビリテーション科学教室

ページ範囲:P.348 - P.352

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要旨 POEMS症候群に罹患し右腸骨骨髄腫のため下肢荷重が困難であった症例を経験した.POEMS症候群は多様な症状を示すため画一的なリハビリテーションはなく,装具療法やADL動作練習など代償的なリハビリテーションが行われてきた.近年,自己末梢血幹細胞移植を行うことで症状の改善が報告されているが,復職まで至った症例の報告は少ない.本症例に対しては,治療経過や全身状態を考慮しながら,末梢神経障害による過用性筋力低下に留意しつつ筋力増強練習や歩行練習を行ったことで,徐々に筋力の改善を認め歩行能力が向上した.また,長期間免荷されていた右下肢に対して,立脚期の筋活動を考慮した理学療法を行ったことで杖なし歩行が自立し,復職に至った.POEMS症候群は病態が複雑であり,予後の推察が容易ではない.そのため,集学的治療体制での治療と理学療法を行っていく必要がある.

参考文献

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3)Kuwabara S, et al:Treatment for POEMS(polyneuropathy, organomegaly, endocrinopathy, M-protein, and skin changes)syndrome. Cochrane Database Syst Rev 2012
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11)Neumann DA,嶋田智明,他(監訳):筋骨格系のキネシオロジー.pp547-593,医歯薬出版,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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