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Close-up ロボット
ロボットと理学療法—現状と展望
著者: 田中敏明12 杉原俊一3
所属機関: 1北海道科学大学保健医療学部理学療法学科 2東京大学先端科学技術研究センター・高齢社会総合研究機構 3医療法人秀友会札幌秀友会病院リハビリテーション科
ページ範囲:P.453 - P.459
文献購入ページに移動ロボットをリハビリテーションで用いること(ロボットリハビリテーション)は比較的新しく,かつ,急速に臨床に浸透が進んでいる成長分野でもある.リハビリテーションに機械を使用するアイデアは,1910年にTheodor Büdingenが行った心臓病患者の足踏み運動を補助する電動モータ装置の特許申請に端を発し,最初のロボットリハビリテーションシステムはcontinuous passive motion(CPM)の概念を基礎とする1,2).さらに,治療用途向けの最初の外骨格型パワードスーツが脊髄損傷患者へ1970年代に導入された3).以後,多用なロボットがリハビリテーションに応用されつつある.
このように新しい概念で開発されたロボットをリハビリテーションに導入することに関して,理学療法士は現状,その装置の原理,操作性を含めた治療プログラムの設定方法,患者へのリスクなどに関して試行錯誤しているのではないだろうか.
本稿では,ロボットリハビリテーションの現状を説明し,日欧米のロボット工学者へのインタビューから見えるロボットリハビリテーションの課題について述べ,リハビリテーション現場でのロボット使用に関する臨床意思決定について症例を通して解説する.最後に,理学療法士としてのロボット利用に関する対処法に関して私見を述べることとする.
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