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雑誌目次

雑誌文献

理学療法ジャーナル55巻6号

2021年06月発行

雑誌目次

特集 Inner & Intrinsic Muscles—筋による関節の安定化,姿勢調整機能を探る

EOI(essences of the issue)

ページ範囲:P.614 - P.615

 インナーマッスルは深層筋の総称であり,関節安定化機能を有し,姿勢保持や動作の安定化に寄与するとされている.運動器疾患ではインナーマッスルの弱化と拮抗するアウターマッスルの相対的強さが病態の特徴として示されることが多い.またイントリンシックマッスルは手関節,足関節より遠位に起始停止を持つ筋とされているが,両者は,筋自体の有する関節トルクよりも安定性,固有受容器からの感覚などのように捉えきれていない側面がある.本特集によりこれらの筋に焦点を合わせ,最近の進歩について深く理解するきっかけとしたい.

頸部深層筋の姿勢調整機能とエクササイズの効果

著者: 谷田惣亮

ページ範囲:P.616 - P.622

Point

●頸部は頭部を安定的かつ協調的にコントロールするという機能的特性をもち,頸部深層筋が重要な役割を担っている

●頸部深層筋は身体の他の部位より筋紡錘の密度が高く,感覚器としての機能に優れており姿勢調整にも寄与している

●頸部深層筋のエクササイズにより,関節の構造的安定性と機能的安定性が得られ,姿勢調整機能が改善する可能性がある

外側翼突筋の担う咀嚼力の調整と関節安定化機能

著者: 古泉貴章

ページ範囲:P.623 - P.627

Point

●顎関節のインナーマッスルは外側翼突筋である

●外側翼突筋は下顎前突・側方運動に作用し,咀嚼力の調整や関節の安定化機能を有する

●外側翼突筋の機能低下は頭部前方偏位増強など頭頸部の位置関係に影響する可能性がある

野球における回旋筋腱板トレーニング

著者: 岡田匡史

ページ範囲:P.628 - P.634

Point

●プロ野球投手はシーズンを通して強度の高い投球を相当数行っている

●投球時には肩関節へ大きなストレスがかかるため,回旋筋腱板や他関節のコンディショニングが欠かせない

●回旋筋腱板のトレーニングでは,①強度,②収縮様式,③運動様式の3点を押さえることが重要である

手内在筋と投球障害—ボールリリース時の手の機能から内側型野球肘障害を考える

著者: 栗田健

ページ範囲:P.635 - P.641

Point

●虫様筋には手外在筋群の伸張状態を感知する役割があり,骨間筋群は出力に影響する

●小指球筋群が弱いと豆状骨が手関節方向へ緩み,尺側手根屈筋も入りにくくなる

●浅指屈筋に頼ったボールの握りではリリースポイントを前方にもってくることが難しいため,手内在筋を使ってボールを軽く把持させる

骨盤底筋と姿勢,股関節との関係

著者: 槌野正裕

ページ範囲:P.642 - P.646

Point

●肛門挙筋は随意的に尾を動かす本来の役割から,骨盤内臓器を保持する役割に変化した

●姿勢アライメントの変化は骨盤底機能に影響を与える

●骨盤底筋群の収縮が困難な症例に対しては,股関節外旋筋群の収縮により外肛門括約筋の収縮を促通する

腰部多裂筋に対する評価とmotor control training

著者: 隈元庸夫

ページ範囲:P.647 - P.653

Point

●Local stability muscleである深層多裂筋とglobal stability muscleである表層多裂筋が腰部の動的安定化と分節制御に関与する

●制御されていない動きの「部位と方向」,「並進運動と関節運動」を評価し,「マネジメント計画の立案」を行う

●制御されていない動きを修正し,腰部安定化することがmotor control trainingの目的となる

腹横筋は胸腰筋膜と連動して働き,骨盤底筋群・横隔膜とともに作用することで効果を発揮する

著者: 村上幸士

ページ範囲:P.654 - P.658

Point

●腹横筋は胸腰筋膜と連動して働き,効果を発揮する

●下部胸椎-腰椎-骨盤の安定性に関与する組織変化の数値化

●腹横筋と連動して働く組織の超音波診断装置を用いた「診える化」

横隔膜の姿勢調整機能についての検討

著者: 立石貴之

ページ範囲:P.659 - P.665

Point

●横隔膜の機能は構造上,胸郭の形状と脊柱アライメントに依存する

●脊柱のコントロールにおいて,横隔膜の最大の関与は腹腔内圧の発生である

●課題遂行時には呼吸を止めないように注意を払う

歩行と走行に着目した腸腰筋の役割

著者: 治郎丸卓三

ページ範囲:P.666 - P.671

Point

●加齢により最も萎縮しやすい下肢筋は腸腰筋であり,加齢による歩行能力の低下と腸腰筋は強く関係している

●歩行速度と腸腰筋は関係しているが,腸腰筋は歩幅と歩調の両方を増大する役割がある

●速く走るためには腸腰筋を活発に活動させることが重要である

足内在筋のはたらきと姿勢との関係

著者: 大竹祐子

ページ範囲:P.672 - P.677

Point

●足の内在筋は体重を前方移動した際にはたらくが,足趾のポジションにより関与する筋が異なる

●足趾屈曲筋力は立位バランス能力と相関し,加齢に伴い低下する

●足の内在筋トレーニングにより立位の安定性は増すが,元々ある程度のバランス能力を有していないと効果的ではない

Close-up 「足」を理解する

「足」が担う身体のベース機能

著者: 園部俊晴

ページ範囲:P.680 - P.684

どこまでも奥深い「足」

 筆者の約30年の臨床は,常に“足”を中心に診てきた.小さな子供の足から高齢者の足まで老若男女問わず幅広くさまざまな足を診ることができた.また,オリンピック選手やプロスポーツ選手など数多くのトップアスリートの足も診る機会を得て,足の機能をより深く知ることができたと感じている.本邦の理学療法士では,筆者が臨床で最も多くの足を診ているのではないかと思われる.

 その臨床経験から,足はどんなに深掘りして捉えても,どこまでも奥深い器管だと痛感する.そのため,これまでの30年の臨床はいつもワクワクするような発見の連続であった.本稿では,筆者が臨床経験で培った知識のなかで,身体のベースを担う足の機能について,臨床において何が重要なのかを筆者の観点でお伝えしたい.

「足」の機能の巧妙さ—裸足と履物・路面・スピードへの対応

著者: 伊佐地弘基

ページ範囲:P.685 - P.688

足と姿勢制御

 2足直立歩行を営むヒトにとっての足(足底)は,地面である外的環境情報を収集し,その情報を中枢神経系に求心性に送ることで安定かつ安全に姿勢制御を行うための機能を担っている.足は,体性感覚である表在感覚と深部感覚に関与する感覚受容器によって,地面の材質,硬度,形状などの情報を収集すると同時に,身体の位置や動き,荷重負荷や加速度によって変化する力学的な応力との関係を全身機能とともに調整している.よって,足(足底)からの正常な感覚入力が行われないと多関節に関与する姿勢制御機能が破綻することとなり,身体各部に過度な力学的ストレス集中を生み,組織損傷を引き起こすこととなる.

 また,足は解剖学的にも多くの骨と関節によって構成されるため,足部アライメントは関節覚などの深部感覚と密接な関係性があると考えている.足部の外在筋および内在筋も多く存在することから,筋紡錘からの深部感覚情報も重要であり,関節構造の安定性とも関与していることが予測できる.いわゆる関節構造の崩れは,荷重下での活動時の不安定性を助長し,多関節性に関節運動の円滑性を阻害することで,運動効率を低下させることにつながる.同時に,非効率的な運動を強要されることで,筋活動の不均衡や過度な筋緊張および弛緩,関節構成体への過度な圧縮や剪断ストレスの増悪が引き起こされる.このような身体機能のもとで,不整地や悪環境での活動,身体機能に適していない靴などのツールを使用することは多くの外的および内的ストレスを生み,身体各部位に障害をもたらすことにつながる.

「足」の機能変化と身体運動

著者: 木下和昭

ページ範囲:P.689 - P.693

はじめに

 足部は直立二足移動での唯一の土台となり,その形状を変化させることで衝撃吸収と推進力という相反する機能を生み出す.特に後足部の回内外は,足部自体の剛性を変化させ,その関節運動は隣接する関節へと運動を連鎖させる.そのため,足部の機能変化は下肢・体幹アライメントに影響を及ぼし,異常動作や疼痛発生の原因となる.諸家の報告によると外反母趾の対象者は,約4割に下肢変形性関節症を合併していること1,2)や扁平足が重度になると腰痛や膝痛の発生率が向上すること3),動作時の足アーチの過剰な低下が下肢のoveruse障害と関係していること4,5),足アーチ高が下肢筋のスティフネスと関係していること6)など,多くの研究で足の形状変化と身体に与える影響について報告されている.これら必要な運動戦略と足部機能の不一致が上位の膝関節や股関節・体幹にメカニカルストレスを加えると考えられる.本稿では足の形状変化と身体運動との関係を中心に概説する.

連載 とびら

“つながり”がもたらす素敵な未来

著者: 櫻井健太郎

ページ範囲:P.611 - P.611

 2020年は新型コロナウイルス感染症により世界が未曽有の事態に陥った1年でした.緊急事態宣言による外出自粛,小学校休校など,勤務調整で慌ただしかったことを思い出します.医療機関や施設では面会制限が余儀なくされ,愛しい人との面会も叶わない現状でした.臨床実習の受け入れ中止により,実務負担が減った半面,若く新たな感性に触れることもなく寂しさを感じたものでした.実習地訪問にいらっしゃる先生方との久々の再会も叶うこともなく,より一層寂しい思いに駆られました.いつもどおりの日常は,いつの間にかそうではなくなり,窮屈な感覚に陥ったのは私だけではないと思います.

 一年前の日常を思い起こすと,変わりなく過ぎていく当たり前の日常を慈しむことができるようにもなりました.そして2021年はどんな年になるだろうと考えながら,仕事始めを迎えました.スタッフルームで一息ついていたら,これまで目にしたことのない執筆依頼在中と書かれた自分宛の郵便物が届きました.医学書院からの手書きの文字は,自分の名前までも,いつもと違っても見えました.“なぜ私???”と頭の中がクエスチョンマークでいっぱいになりました.お引き受けすることを前提に,担当者に確認すると,大変お世話になっている大好きな養成校の先生からの推薦をいただいたとのことに,身に余る喜びと感謝の気持ちが込み上げてきました.今回のことも含め,人との出会いの不思議さ,そして離れていても,見えないところでのご縁のつながりのありがたさをつくづく感じました.

目で見てわかる 今日から生かせる感染対策・11

感染予防の常識を今一度確認しましょう ②

著者: 高橋哲也 ,   森本ゆふ

ページ範囲:P.607 - P.608

感染対策問題 10番勝負!

Question 1. 医療における手指衛生の5つのタイミングを答えよ.

Question 2. 石けんと流水での手指衛生は,全工程で(   〜   )秒かけて行う.

再考します 臨床の素朴な疑問・第6回

起こすと血圧が下がるので,足に弾性包帯を巻こう.本当に効果があるの?

著者: 中尾周平

ページ範囲:P.698 - P.699

はじめに

 起立性低血圧は,われわれ理学療法士が担当患者を離床に導く際のリスク管理として,慎重に評価すべき症状の1つである.また,加齢により増加することが知られており,高齢の医療機関受診者の5〜30%にみられるとされている.特に,高齢者ではさまざまな疾患に対する服薬も多く,降圧薬服用者においては50〜65%に起立性低血圧を認めたとの報告がある1).よって,原疾患に加えて,加齢による影響や服薬している薬剤などを十分に考慮し,離床を進めていく必要がある.

 本稿では,体を起こすとなぜ血圧が下がるのか,そして弾性包帯の有効性はあるのか,またその生理的機序などをガイドラインや先行研究を交えてまとめた.

診療参加型臨床実習・第6回

診療参加型臨床実習の取り組みの現状と展望—回復期大学病院/回復期基幹病院

著者: 児玉慎吾 ,   村井直人 ,   末吉勇樹

ページ範囲:P.700 - P.705

回復期大学病院

川崎医科大学附属病院の概要と,診療参加型臨床実習の概念・捉え方

 川崎医科大学附属病院(以下,当院)は,回復期リハビリテーション病棟が同施設内にある大学病院であり,急性期だけでなく回復期の理学療法も提供している.理学療法士は33名で,臨床グループ(回復期,整形・消化器・救急,脳神経・循環器,がん疾患)に分かれて業務を行っており,年間20名程度の学生の臨床実習を受け入れている.

 多様な経験ができるよう,回復期・急性期の混在した複数のスタッフ(4〜5名)で構成される「学生教育グループ」で学生1名を教育する体制とし,両病期を体験できる診療参加型臨床実習を行っている.学生教育グループ内で検討共有された計画のもと,臨床教育者(clinical educator:CE)は,学生と協働(分担)し理学療法を行うなかで,学生が医療人の姿勢・臨床スキルを段階的に学習できるよう支援している.

国試から読み解く・第18巻

胸部X線から病態を推測する

著者: 正保哲

ページ範囲:P.706 - P.707

 嚥下障害がある患者の胸部エックス線写真を以下に示す.予想される理学所見はどれか.

臨床実習サブノート 診療参加型臨床実習—「ただ見ているだけ」にならないように!・3

人工膝関節全置換術

著者: 藤浦達

ページ範囲:P.708 - P.712

変形性膝関節症に対する人工膝関節全置換術後の理学療法の概要

 変形性膝関節症は疼痛を伴う代表的な関節疾患です.関節変形が進むにつれ,徐々に疼痛が強くなり活動制限を来し,全身に廃用を生じさせます.人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty:TKA)後は,侵襲による炎症症状が生じ,アライメントが変わったことも加わり関節可動域制限や筋出力の低下を来します.理学療法では,患部の炎症症状に配慮しつつ関節可動域や筋力を改善させ,併せて全身の廃用改善を図ることが重要です.それによりすみやかな基本動作・歩行獲得,ADL・APDL自立,社会復帰が果たせます.

 近年,クリニカルパスを利用した施設が増えています.当院では術後約2週間で退院することを目標としていますが,なかには1週間未満での退院を目標とする病院もあります.退院の際には,安全な移動手段の確保が必須となります.一般的には,T字杖歩行での自宅退院が目標となることが多いですが,入院期間と患者の能力を考慮して,安全に移動できる歩行補助具を選択することが重要です.長期目標は,患者の生活環境や社会的状況,NeedやHopeを目安に設定します.入院中から長期目標を考慮してプログラムを行うのはもちろんのことですが,退院時に目標達成のための自主練習の指導をすることも重要です.

私のターニングポイント・第18回

人が人を診るという意味

著者: 高木康彰

ページ範囲:P.696 - P.696

 私は現在,病院に理学療法士として所属しながら,保険外のトレーニング施設にて徒手に加えて装着型サイボーグなどを活用して主に脳卒中後遺症者の機能回復に取り組んでいます.

 保険外の施設では今までの臨床で培ってきた知識,技術に加えて接遇や経営戦略などがすべて試され,トレーニングの結果が契約や収益に直結します.そのため,プレッシャーは大きいですが,常に真剣勝負の環境であるため,やりがいは大きなものがあります.

症例報告

右上肢の筋力低下を主症状とする顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー症患者に対する単関節型HAL®の試用評価

著者: 稲葉塁希 ,   加藤浩章 ,   野田康平 ,   中村憲一郎 ,   馬見塚尚孝

ページ範囲:P.713 - P.717

要旨 【はじめに】筋ジストロフィー症においては,筋力増強を図りながらも,過用性による筋破壊を伴う筋力低下に留意しなければならない.この相反する課題に対し,上肢単関節型HAL®(HAL®-single joint:HAL®-SJ)の試用機会を得たため報告する.【対象】顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー症(facio-scapulohumeral muscular dystrophy:FSHD)と診断された26歳女性.上肢運動機能障害度:6(机上で肘伸展による手の水平前方への移動).患肢の徒手筋力テスト(manual muscle testing:MMT)は肘関節屈曲:1.【方法】患肢にHAL®-SJを装着し,背臥位で肘関節の屈曲伸展自動介助運動を10回×10セット,週1回程度,合計33回実施した.評価は,上肢筋肉量,握力,関節可動域,機能的自立度評価法(functional independence measure:FIM),上肢・手指機能評価,主観的評価を選択した.また,機器の試用評価・改善策について記録した.【結果】運動終了時に,右上肢筋肉量と患肢握力に若干の増大を認めた.評価期間中に重度の筋痛や過用性の筋力低下は認めなかった.右肘関節の自動屈曲可動域の改善はみられなかった.FIMに変化はなかった.上肢・手指機能評価および日常生活での主観的評価が改善し,患肢上肢の日常使用が促進された.HAL®-SJ試用経過のなかで,座位姿勢でのADL練習が困難であった.【考察】顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー症患者に,HAL®-SJを用いて自動介助運動を実施した結果,右上肢筋肉量増加と患肢握力増大,上肢・手指機能評価および主観的評価の改善を得た.今後,医療機関以外でHAL®-SJを用いた自主練習が可能となれば,使用効果をさらに高められると考える.

書評

—森岡 周(編著)—「脳とこころから考えるペインリハビリテーション—ひとをみるという志向性」

著者: 鈴木重行

ページ範囲:P.678 - P.678

 本書のタイトルを見たとき,特に副題である「ひとをみるという志向性」とは何を意味するものか理解できなかったが,読み進めるうちに森岡周先生らしい将来を見据えた慢性疼痛の捉え方が散りばめられており,すばらしい仕上がりになっている.

 本書は,「慢性疼痛を画一的なアプローチではなく,より深くかつ広く,多角的に対処していく方法を教示する書籍」として執筆・編集されているため,慢性疼痛を学び始める学生のみならず,臨床で慢性疼痛に日々対応しているリハビリテーションスタッフ,さらには慢性疼痛を研究題材としている研究者,大学院生にとっても必読書になると思われる.

—堀部秀二(監修)/小柳磨毅,境 隆弘,三谷保弘,松尾高行(編集)—「明解 スポーツ理学療法—図と動画で学ぶ基礎と実践」

著者: 福井勉

ページ範囲:P.694 - P.694

 編集代表が序文に書かれているように,理学療法士になりたいという志望動機には「スポーツ」に何らかの形でかかわりたいと考える高校生が多い.この傾向は長い間続いており,古くは自分がスポーツで怪我をしたという動機であったが,最近では怪我の後で担当してくれた理学療法士に憧れたことが動機になっているように若干変化してきている.

 しかしながら,スポーツ理学療法を設定している教育機関において,教育内容が網羅され,理解しやすさへの工夫がされている書籍はあまりなかった.その意味では本書は教科書として適切な内容の網羅と理解しやすい特徴がさまざまな側面で構築されている.

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目次

ページ範囲:P.612 - P.613

文献抄録

ページ範囲:P.718 - P.719

「作業療法ジャーナル」のお知らせ

ページ範囲:P.646 - P.646

バックナンバー・次号予告のお知らせ

ページ範囲:P.722 - P.723

編集後記

著者: 福井勉

ページ範囲:P.724 - P.724

 運動器疾患を治療する際に,基盤でもある「筋の作用」についてどのように捉えることが必要とされているのでしょうか.筋は長さ,緊張,レバーアーム,recruitment,firing rate,連結,協同筋,拮抗筋などさまざまな捉え方ができますし,硬結,断裂,損傷やその修復過程において,すべてが明らかになっているわけではありません.そのなかでも特に深層筋と浅層筋の関係性については解釈が難しく感じます.

 筋を機能的に分類するにはいくつかの方法がありますが,インナーマッスルやイントリンシックマッスルは総じて力やトルクの発揮には適していません.しかし,これらの筋こそが,運動器疾患にとって重要視されてきており,機能的重要性を深掘りすれば,起始と停止位置の詳細や発生学にあらためて注目せざるを得なくなります.

読者の声募集

ページ範囲:P. - P.

基本情報

理学療法ジャーナル

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1359

印刷版ISSN 0915-0552

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