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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル55巻6号

2021年06月発行

文献概要

連載 再考します 臨床の素朴な疑問・第6回

起こすと血圧が下がるので,足に弾性包帯を巻こう.本当に効果があるの?

著者: 中尾周平1

所属機関: 1鹿児島大学病院リハビリテーション部

ページ範囲:P.698 - P.699

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はじめに

 起立性低血圧は,われわれ理学療法士が担当患者を離床に導く際のリスク管理として,慎重に評価すべき症状の1つである.また,加齢により増加することが知られており,高齢の医療機関受診者の5〜30%にみられるとされている.特に,高齢者ではさまざまな疾患に対する服薬も多く,降圧薬服用者においては50〜65%に起立性低血圧を認めたとの報告がある1).よって,原疾患に加えて,加齢による影響や服薬している薬剤などを十分に考慮し,離床を進めていく必要がある.

 本稿では,体を起こすとなぜ血圧が下がるのか,そして弾性包帯の有効性はあるのか,またその生理的機序などをガイドラインや先行研究を交えてまとめた.

参考文献

1)河野律子,他:起立性低血圧.昭和医会誌2011;71:523-529
2)Calkins H, et al:Hypotension and syncope. In Braunwald's Heart disease:a textbook of cardiovascular medicine, 7th ed. pp909-919, Elsevier Saunders, Philadelphia, 2005
3)井上 博,他:失神の診断・治療ガイドライン(2012年改訂版).pp1-13,循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011年度合同研究班報告). pp1-13,2012
4)長島正明,他:起立負荷に対する腹帯の効果—循環動態への影響.国大法人リハコ・メディ会誌2008;29:35-37
5)小平由美子,他:若年者における起立性低血圧予防に関する研究—弾性ストッキングの効用.岐阜医療大紀2014;8:113-117
6)阿部和夫,他:起立性低血圧に対する弾性包帯の効果—近赤外線スペクトロスコピーによる検討.リハ診療近畿会誌2001;2:14-16
7)Smeenk H, et al:Compression therapy in patients with orthostatic hypotension:a systematic review. Neth J Med 2014;72:80-85

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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