icon fsr

文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル55巻6号

2021年06月発行

文献概要

連載 臨床実習サブノート 診療参加型臨床実習—「ただ見ているだけ」にならないように!・3

人工膝関節全置換術

著者: 藤浦達1

所属機関: 1横浜市立大学附属市民総合医療センターリハビリテーション部

ページ範囲:P.708 - P.712

文献購入ページに移動
変形性膝関節症に対する人工膝関節全置換術後の理学療法の概要

 変形性膝関節症は疼痛を伴う代表的な関節疾患です.関節変形が進むにつれ,徐々に疼痛が強くなり活動制限を来し,全身に廃用を生じさせます.人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty:TKA)後は,侵襲による炎症症状が生じ,アライメントが変わったことも加わり関節可動域制限や筋出力の低下を来します.理学療法では,患部の炎症症状に配慮しつつ関節可動域や筋力を改善させ,併せて全身の廃用改善を図ることが重要です.それによりすみやかな基本動作・歩行獲得,ADL・APDL自立,社会復帰が果たせます.

 近年,クリニカルパスを利用した施設が増えています.当院では術後約2週間で退院することを目標としていますが,なかには1週間未満での退院を目標とする病院もあります.退院の際には,安全な移動手段の確保が必須となります.一般的には,T字杖歩行での自宅退院が目標となることが多いですが,入院期間と患者の能力を考慮して,安全に移動できる歩行補助具を選択することが重要です.長期目標は,患者の生活環境や社会的状況,NeedやHopeを目安に設定します.入院中から長期目標を考慮してプログラムを行うのはもちろんのことですが,退院時に目標達成のための自主練習の指導をすることも重要です.

参考文献

1)山田英司,他(編):人工膝関節全置換術の理学療法.文光堂,2018
2)松原貴子,他:ペインリハビリテーション.pp 78-86,三輪書店,2011
3)江原義弘,他:ボディダイナミクス入門 立ち上がり動作の分析.pp 79-81,医歯薬出版,2002
4)Goetz-Neumann K(著),月城慶一,他(訳):観察による歩行分析.pp 26-30,医学書院,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?