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特集 移動—理学療法からみた学際的探求
移動と理学療法—ミクロ・マクロ的な視座からみた生物の進化と移動欲求
著者: 奈良勲1
所属機関: 1広島大学
ページ範囲:P.734 - P.738
文献購入ページに移動生物の基本単位は「細胞」であり,それらの成分の「移動」を通じ多様な機能を果たしている.そのなかで核,小胞体などの小器官とそれらの間を埋める細胞質基質の間で活発に生体高分子が移動している.一部の細胞は自ら積極的に変形して動き回り,リボ核酸(ribonucleic acid:RNA)やタンパク質の細胞内で移動してこれらの動態と細胞自身の動きが「移動」の基盤となる.しかし,細胞・組織・器官の各機能は個体の総合的システムとして作用する1,2).理学療法学の学際領域は多岐にわたるが,理学療法の主な目的は,疾患を問わず基本動作能力を含むADL・社会参加の向上である.しかし,学際的関係性の融合が十分に考慮されてきたとは言えない.
第27回日本理学療法士学会(長崎,1992年)の大会長は奥村愛泉氏で,テーマは「移動と理学療法」であった.筆者はそのシンポジウムの企画を依頼され座長も務めた.その際の「移動」の概念は,上記した範疇にとどまっており,その後,筆者は「移動の概念をミクロ・マクロ的視座から捉える」ことの重要性を探究してきた.
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